このところ寒暖の差が激しい。先日降った雪がまだ少し残っているが、気温は10℃を超え、強くなってきた陽射しの中にいると春を感じる一日だった。暖かくなると気持ちも軽くなり、出かけたくなる。近くの公園はたくさんの人で賑わっていた。しかし、明日はまた冬に後戻りとの予報。体調の維持に気をつけたい。
弥生3月。今日は桃の節句。
旧暦の3月3日(上巳の節句)は桃の咲く季節あたることから「桃の節句」と呼ばれるのだそうだ。旧暦なのでこの3月よりももっと暖かくなった頃になる。今年は26年ぶりの寒い冬だったということでやっと梅が咲き出したところである。それでも、3月3日という日付を見るとひな祭りという気分になる。
京都御所の左近には桜があり、右近には橘があるのだそうだ。そこで、段飾りには神の依代(よりしろ)としての桜と、邪気を払うという橘を左右対にしてひな人形と共に飾るようになったという。3月という季節感からいうと桜の花と橘の実というのはしっくり来なかったが、旧暦として考えれば多少、季節が近づくようにも思える。
我が家でも子どもの小さいうちは段飾りをしっかり飾っていたのだが、成長すると共にだんだん省略するようになってしまった。なにしろ部屋を大きく占領してしまうことと、飾り付けたり片づけたりする手間が大変なのだ。面倒だと思いつつも、一年に一度くらいは飾ってあげなければと言う思いもあり、内裏びなだけを飾るようになってしまった。これなら狭いスペースで手間もかからない。
飾ってみると人形だけでは寂しいので、左近の桜、右近の橘を添えることになる。そしてせっかくなのだからと桃の花や菜の花などを生けることとなる。花屋さんではこの時期になると桃の花が大量に出てくるし、黄色のフリージャーやチューリップも出てくる。季節の花というよりも行事の花という感じである。
子どもが健やかに育って欲しいと願う親心、祖父母心、人々の願いからこうした行事が行われてきたのだと思う。今でこそ商品としてのひな人形・飾りが主流になってしまったが、もともとはさまざまな形態で行われていたのだろう。「さげもん」や「つるし飾り」「傘飾り」という形にも同じ親心が感じられる。
昨年のひな祭りの時には、あれほどのことが起こるとは考えてもいなかった。健やかな成長を願うということの重さをひしひしと感じる今年のひな祭りである。