XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

両国界隈

国技館

寒に入り寒さが厳しい日が続いている。今日は雲が多く日射しがない分よけいに寒く感じるが、家の中にいても仕方がないと外出を決めた。
 どこに行こうかと考えたとき、江戸東京博物館で「平清盛展」が開かれているというので、地下深くを走る大江戸線に乗って出かけることにした。
 両国駅に着き何台ものエスカレーターを乗り継いで地上に上がると博物館のすぐ脇に出る。常設展示には何回か訪れているのだが、特別展がどこで行われているのかわかっていなかった。3階のエントランスでシオサイトの開発で見つかったという汐留遺跡の展示を見ながら入場券を買う。会場は1階だとのこと。
 会場はたくさんの人で混み合っていた。特に入り口付近は幾重にも人垣が出来ている。先に進むと人もばらけてきて、清盛ゆかりの品々を楽しむことが出来た。特に厳島神社に奉納されたという平家納経は心を尽くし贅を尽くしたというだけあって見応えがある。当時の最高の技巧を使い、一文字一文字を書きつづった様子がうかがえる。平家一門が分担して作成したとのことで、それぞれの経文で書き手の個性が出ているところも興味深い。 会場では「平氏ニュース」という報道形式の解説文で時代と出来事の流れを追って展示がなされていて歴史的な興味にも配慮されている。合戦絵屏風や平家物語の展示などビジュアル的に楽しめ、NHK大河ドラマと連携した展覧会になっていた。

 博物館7階のレストランでスカイツリーの展望を楽しもうとしたのだが、あいにく窓際の席は予約でいっぱい。日射しも出てきたので両国界隈を散策して見ることにする。
 駅に向かって歩く。駅のすぐ隣は国技館である。力士とすれ違うと鬢付け油のすてきな香りが鼻をくすぐる。櫓太鼓の周りには色とりどりに相撲部屋ののぼりがはためいている。関係者入り口前の歩道には、入り待ちをする人たちの柵が設けられている。人気の力士がタクシーで乗り付けてくると声援が飛び交い、一瞬騒然となる。今日のチケットは完売とのことで満員御礼の札が出ている。会場に入っていく外国の人たちの姿も多く、力士だけでなく国際的になったことが伺える。
 国技館の前を進むと、旧安田庭園である。池を中心にした回遊式の庭園で木々の間からスカイツリーの上部を見ることが出来た。池にはカルガモなどの水鳥やユリカモメなどが多いが、スズメたちも人に慣れているようで人のすぐ近くで餌をついばんでいる。与えるパンくずを鳩と一緒についばむ姿には驚かされる。
 旧安田庭園の道を挟んだ向かい側が横網町公園だ。被服廠跡で関東大震災の時、大きな被害のあったところであり、その後の東京大空襲でもたくさんの犠牲者を出し、東京都慰霊堂、東京都復興記念館が設けられている。今回の震災で亡くなられた方々への卒塔婆も納められていた。関東大震災の折りに中国から支援を受け、激励のために送られたという梵鐘もある。これまでも大きな災害が繰り返し起きていて、世界中のたくさんの人々から支援をうけ乗り越えてきた歴史を感じる場所である。慰霊堂で線香をあげさせてもらう。合掌。
 日射しも傾いてきたので駅に戻ることにする。国技館前を通ると関取”隆の山”が場所入りするところだった。185cm、98kgという大きな体のはずだが、巨体の多い力士の中ではとてもスマートに見える。足早に館内に入っていく後を、まわしと思われる風呂敷と大きな座布団を抱えた付き人が追っていった。
 家に帰ってテレビを見るとちょうど隆の山の取り組みだった。鮮やかな技で快勝。これで五分になる。健闘を期待したい。