XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

機織り体験

コースターを作りました。

この季節は樹木の剪定が盛んに行われている。ケヤキ並木のきれいな志木街道でもほとんど丸坊主と思われるほどに強剪定が行われていた。街道を彩る樹木は時々このような手入れをしなければならないのだろう。ちょっとかわいそうな気もするが、人々の生活との調和を取るためには致し方のないことだと思う。
この街道の脇に清瀬市立郷土博物館がある。志木街道に直交するように清瀬駅から伸びる道から少し入った所で、駐車場の前は市民農園になっているのどかなところである。
この博物館で『企画展「染める・織る・縫う」』が行われていたのでお邪魔してきた。博物館が主催する「衣の三教室」の参加者・講師・活動グループの作品発表会、また、関連事業として講習会・体験があるという。
2階ギャラリーには参加者の皆さんの手作り作品が展示されていた。ロビーにも清瀬の四季を織り込んだ大きなタペストリー展示されていた。地域文化の拠点として様々な事業が行われているようだ。講座室ではペーパークラフトの教室が開かれていてたくさんの親子が参加していた。
体験コーナーではちょうど機織りをさせてくださるとのことで、飛び入りで体験させてもらった。木綿の布を切り裂いて細いひも状のものを作り、これを緯糸(よこいと、woof、weft)として経糸(たていと、warp)の組み込まれている機台で織り込んでいく体験である。幅10cmほどの布が織れるのでコースターとして完成させようというのである。
引き裂いた布だけでは織り始めと織り終わりの処理が出来ないため、経糸と同じ糸を使って数センチの布を織り、その中間に引き裂いた布から作ったひも状のものを織り込むことになる。緯糸には1本ごとに上下に開かせるための綜絖(そうこう)という仕組みが施されている。この綜絖枠(shaft)を左右の足で上下させ、開いたところに杼(ひ、シャトル)を使ってひも状の布を入れる。そして経糸緯糸を平らに閉じて筬(おさ、リード、reed)で締めるのである。原理は簡単なのだが糸の張り具合や筬を使った締め具合など微妙な手加減が要求される。均一な布に仕上げるには、やはり長い鍛錬が必要なようである。
それでもどうやら10cm四方のコースターが出来上がった。引き裂いた布から作ったとは思えないほどきれいな色合いである。緻密な手作業から様々なものを生み出してきた先人たちの労苦に思いが至る。工業化によって手軽にものが手に入るようになり、生活も豊かになった。しかし、そのためにものと人との距離が離れてしまい、ものの価値が薄れてしまったことも事実である。
「ものづくり」は人にとって作業以上の意味があるように思う。ものづくりの過程を通して自分の力を発揮し、達成感を得ることが出来るからだ。
今回、博物館の企画に参加させてもらうことですてきな手作りを楽しませてもらった。出来上がった作品はコーヒータイムのひとときを心豊かにしてくれそうである。