XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

不安定のおもしろさ。

shig552006-08-08

 台風7号、8号、9号が日本近海に停滞している。太平洋と大陸に大きな高気圧が居座っているせいでの停滞のようだ。今朝は時化降りの雨で、通勤途中ぬれねずみになってしまった。近くのバス停まで歩き、バスを待っていたわずかな時間だったが、激しい雨で傘が役に立たなかった。地下鉄に乗り、降車駅で地上に出ると、地面が濡れていない。雨がぽつりぽつりと降り始めた気配だが、結局傘を使わず職場にたどり着くことができた。局所的な大雨だったようである。

 先日、久しぶりにお空に出た。(on the air 無線通信をすること)何気なくトランシーバーの電源を入れるとたくさんの局が聞こえる。コンテストが始まっているようだ。webで情報を探すとフィールドデーをやっている模様。コンテスト規約を見ると、以前とはだいぶ変わっている。私の出力では「P」とのこと。以前にはこのカテゴリーはなかったように思う。信号を聞いているとMやHの局が多い。各ライセンスで許される出力も大きくなり、多くの方が高出力で楽しんでいるようだ。私は0.5wのQRPである。アンテナも地上に置いたバーチカル。1エリアの局を呼んでも応答がないが、3エリア、7エリアからはナンバーがもらえた。電離層の状況によるようだ。
 コンテストの時にはこんなに賑やかになるが、普段はなかなか相手を見つけるのも難しい。この世界でも高齢化が進み、青少年の科学的興味をかき立てる世界ではなくなってきた。無線機を作ったり、調整したりするおもしろさ、不安定な電離層とつきあいながら伝播を楽しみ、かすかに聞こえる未知の信号を読み取る興奮、思い通りには行かない不安定を楽しむおもしろさがあった。

 アナログでは微かな信号を追っていたが、デジタル化されると出来るか出来ないかの世界になってしまう。そして出来ることが当たり前になってしまった。出来ないことを追い求めるのはよほどの忍耐が必要である。不安定な世界が見向きもされなくなるのは当然である。理科離れ、工学離れが進んでいる。

 人間が制御しているのは自然の中のごくごく一部分である。しかし、生活を取り巻く環境はその制御された中であるから、自然を制御していると勘違いしてしまうのも無理はない。
 都市生活から飛び出せば、自然の不思議にふれることが出来る。都市生活の中でも見方を変えれば不思議がいっぱいである。

 久しぶりにTRCVに火を入れ、電離層の時々刻々の変化を耳にすることが出来た。ネットの世界で遊ぶのも楽しいが、アナログの世界も捨てたものではない。