XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

QSB

端子の接続は確実に!

 QSBとは電信に依る通信で使われるQから始まる3つのアルファベットの略号である。QSB?と疑問符を付けて送信すると、「私の信号強度に変化がありますか」という問いになり、QSBだけを送ると「あなたの信号の強さが変動しています」という意味になる。

 最近、交信をしていて立て続けにこのQSBを送られることが続いた。信号強度は電離層などの影響や伝播経路によって自然に変化することがある。特に私の場合、QRPという小電力での運用なので、相手局にとっては空電などのノイズに埋もれかかった信号になり信号強度の変化がハッキリと感じられる状況である。最初は、QSBの指摘を受けてもあまり気にしていなかったのだが、こう繰り返されると心配になった。さらに名前や所在地を打電しても繰り返しを求められることが続いたので、なおさら心配が増した。

 運用をしていても受信状態では変化を感じなかったのだが、アンテナからのこちらからの送信電波の強度をモニターしてみることにした。すると、ときどき極端に出力が低下する現象が見られた。QSBは自然現象ではなく私の機器に問題があることが判明した。
  
 考えられることは、この現象が断続的に起きていることから回路の接触不良である。送信回路のいずれかに接触不良があるようだ。この機器はMountainTopperというKD1JVがデザインしたものでSteveから直接キットを譲ってもらい組み立てたものである。組み立ては表面実装部品が使われているので大変細かな作業だった。そのどこかで接触不良が起きてしまったのかも知れない。ルーペを駆使して疑わしいところのハンダ付けをやり直した。回路図を見直し、送信信号の経路を追いかけて丹念に再ハンダを行った。
 ところがこの対策をしても送信出力の低下はときどき起きてしまった。回路の問題ではないとするとBNCコネクター同軸ケーブルを疑うことになる。ケーブルを様々に動かしながら導通を確認するが異常なし。しかし、出力が低下した時、同軸ケーブルといじると回復することがあるのを見つけた。アンテナ回路が怪しい。
 実は、私のアンテナはランダムのワイヤーアンテナで、チューナーを介してリグに接続している。アンテナワイヤーをチューナーに接続するところは導線をターミナルに挟んで締め付けていた。チューナーを確認しようとした時、そのアンテナワイヤーが外れたのである。要するに、アンテナがしっかりと接続されていなかったので接触不良を起こしていたのだ。
 チューナーには接地線もつないでいたので、受信ではあまり影響が現れなかったのだろう。大山鳴動してネズミ一匹とも言える結果である。
 手のひらに載るような小さな機器で、地球や宇宙の息吹を感じながら電波で旅をするのは楽しい。TNX FB QSO CUAGNなどの略号で通信できるのもおもしろい。信号一つ一つにその人の個性が表れているのもいいものだ。今回のようなトラブルを楽しむのも趣味の一つである。