XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

扁桃体と前頭葉

shig552006-05-10

梅雨の前触れのようなすっきりしない一日。その中で街路に植えられたオオムラサキが満開で強い色彩が目を楽しませてくれる。ハンカチーフの木も満開になったというニュースも聞かれた。日光植物園の駐車場脇で一度見たことがあるが、本当に木にハンカチをつるしたような風情だった。

脳科学が進歩し。さまざまなことを明らかになってきた。扁桃体が感情を生起し、前頭葉でそれを抑制する働きが明らかになってきたという。それぞれの成長・発達がバランスよく行われないと感情生活に支障が出てくる。
神経系統であるから成長には栄養とともに特定の刺激が必要なのだといくことがサルを使っての実験で明らかになったという。自分を受け入れてくれる親しい人との良好なコミュニケーションによって強い刺激を受け、それによって神経の発達が促されるのだという。この成長は身体の成長以上に長期間にわたって行われ、感情を含めた人格の形成が社会体験によって徐々に行われていくことがわかってきたのだ。
経験則によって人間の変容は社会学や教育学・心理学という分野で検討されてきたが、脳という器官のもつ機能として研究が進んできたことで、この分野での新たな展開が期待される。

長期にわたって脳機能が発達するといっても、やはり幼児期の成長発達はとても大きい。しかし、保育園の待機幼児解消という大号令のもと、保育所の開設や開設基準の緩和、幼保一元化や総合園化など0歳児を含む託児施設の整備が続いている。教育機関として幼稚園が担っている幼児と保護者を育てるということよりも、育児の外注化が進んでいる。脳の発達にとって安定した親子関係は何よりも大事だと考えられている。施設に預けられた子どもたちはそれなりの保育を受けることは出来るだろうが、親の慈愛に満ちたコミュニケーション刺激には及ぶはずもない。
保育の外注化による女性の労働力確保などという近視眼的な方策ではなく、幼児期には親子が一緒に過ごして健全な人間を育成することこそ我が国にとって大きな力になることだと考える。