XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

藤田嗣治の仕事

shig552006-04-02

昨日と今日、テレビで藤田嗣治の番組が放送されていた。今年は生誕120年に当たるのだそうで東京国立近代美術館でその展覧会が行われるという。
名前はよく聞いていたが、あまり作品やその生涯については詳しく知らなかった。戦前から戦後にかけてエコールドパリで活躍し、国内よりも海外での名声が高かったようだ。
黒田清輝の教えを受けていたが、真似をするのがいやで卒業制作に黒を多用した作品を出したという逸話、また、単身パリに行きエコールドパリの中で奇抜な服装や行動で注目を集めたこと、それに対して国内では批判的な扱いを受け冷遇されたことなど、作品の変遷とともに一人の画家の生き様を見ることが出来た。
「藤田の乳白色」という肌色は、是非実物を見たいと思わせる魅力的なものと感じた。押せば押し返してくるような肌の柔らかさが表現されている。写真では表せない表現のようだ。
戦争記録画という分野でも2つの絵があることが紹介されていた。戦意高揚のための絵と、戦争の真実?を描いたもの。サイパンの玉砕を題材にした絵に、見る人々が手を合わせお賽銭を上げていたという話に絵画の持つ象徴性・精神性を感じた。藤田自身、この絵を会心の作と言っていたという。
晩年、フランス国籍を取得し、カソリックに改宗してフランスの田舎に終の棲家を得たという生き方、最後の仕事が自ら礼拝堂を作り、そのフラスコ画の中に自らの姿を残しているという姿に一人の人間の確固とした生き様を見る思いである。
絵画は一点一点の作品を楽しむのも一つであるが、画家の一生をその作品を通して見るのも大変興味深いものである。作品に現れている心情と生活者としての生身の画家の姿を重ね合わせると奥深いものが感じられる。
さて、来週は北の丸に足を運ぶ時間がとれるだろうか。