XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

A1クラブ 非常通信訓練

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Go Bagの中身 3.5MHzではアルミ線を2本繋ぎ

 電信愛好家の集まりのA1クラブでは、毎年さまざまな想定で非常通信訓練をしている。今年の想定は「商用電源喪失&車移動不可という状況」ということで、短波(HF)を使った電信でどのような情報伝達が出来るかを訓練する予定である。

               A1クラブのサイトへのリンク

 避難所間の通信や救援機関の間の通信は主に近距離なので、V/UHFトランシーバーによる音声通信が主体になるのだが、大規模災害で遠距離との通信をする場合、僅かな装備で交信が出来るHFの活用も考えられる。装備の準備とともに通信技能を高めておくことも大事なことだ。そこで、今回は車両を使わず人が徒歩や自転車で持ち運びのできる装備で移動するアクティベータ局とそれを支援する電源や通常の装置が使えるチェーサー局との間での交信を試みる。

 私は写真のような装備でアクティベータとして参加するつもりだ。しかし、外に避難するのではなく自宅の室内か庭先から電波を出す。アンテナはMLAというとても小さなループアンテナで上から吊るす構造である。無線機は掌に乗る2W程度の出力、イヤフォーンで受信する。電源はリチウム電池3本である。一つの袋に収められるので”Go Bag”と呼ばれる装備だ。周波数は夜間は3.5MHz、昼間は7MHz、状況によっては14MHzでの運用を考えている。

 こんな小さな装備で交信が出来るのか心配なので、訓練の前に何度かこの装備での交信を試みた。80mの波長の電波を直径1.4mほどのループに載せるので効率は良くない。家の周りに伸展しているワイヤーアンテナではたくさんの局が聞こえる時でも、このMLAでは数局しか聞こえてこない。それでも根気強く呼びかけていると数局と交信することが出来た。埼玉、山梨、三重の局であった。7MHzでは直径70cmほどのループアンテナである。このバンドはたくさんの方が運用されているので宮城、石川、富山、福島、山梨、千葉、栃木、長野、三重などの局と交信することが出来ている。相手局の受信性能に助けられているのだろうが、微弱な電波でもV・UHFでは届きにくい遠距離の局との情報伝達ができそうである。

 大規模災害時、公共通信の復旧が第一義だが、それを補完する意味でも個人レベルで通信網を確保しておくことは必要だろう。今回の訓練では実施日時を公表しているので互いに交信しようと身構えている。通常の、たまたま聞こえてくるのを待っている状態であるのとは異なる。発災時という状況でアマチュア無線がどの程度使えるかの訓練だ。電信では情報量が限られるが、僅かな情報でも役立つ場面があるはずだ。コンディションによって伝播の様子が大きく変わるHFである。どのような結果になるか期待したい。

メタリック3Dパズル

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まだまだパーツが残っています。



 ビス、ナット、金具・・・メカ好きはこういうものに惹かれてしまうのだ。100均ショップの玩具コーナーで見つけた。対象年齢は8歳以上となっている。箱の中に部品と小さな六角レンジ、スパナの工具まで入っている。説明書はB7判ほどの小さな紙一枚。イラストがいくつか描かれていて組み立て順が示されている。これは組み立てキットではなくパズルなのだ。
 それにしてもこれだけのセットを110円という値段で販売してしまうことに驚く。63ピースという表示があるが、組み立ててみると余剰な部品まで入っている。ホームセンターでこの数のビス・ナットを買ったらいくらになるだろう。この商品を開発した人の企画力には脱帽である。
 箱に描かれている完成図を見ながら組み立てる。特に難しさはないが狭いところにビスを止めていくので順番を考えないと互いに干渉して締め付けられない場合があった。それでも小一時間で組み上げた。今回のパズルはミリタリーという名称で戦闘ヘリコプターを模したものである。子どもの玩具と言うよりも大人が昔のプラモデル作りを思い出しながら楽しむもののように感じた。

 こういうメカニカルなものを見ると改造したくなるものである。パドルへ変身させてみることにする。これだけパーツが多いとすべて使わなくてもできそうである。金具類とプラスティック部品を基に構想を練る。L金具やコの字型の金具があり使えそうだ。また長めの金具があるのでベースとして使えるだろう。プラスティックのバーは多少弾性があるのでパドルの竿の部分として使える。このキット以外に必要なものとしてステレオプラグと3芯のケーブルが必要である。また、あれば4mmφのラグ板があるとよい。
 機構的にはこれまでアクリル板で作ってきたパドルと同様なものができあがった。エレキーに接続してみると符号を打ち出すことはできた。ただし、弾性が強いため使い勝手はよくない。どうにかパドルとして符号の生成はできるというレベルである。

 もう一つ一緒に買っておいたのがレスキューというパズルだ。はしご車を模したもののようでパーツは67個という。これで組み上げたのは電鍵である。さすがにバネは別途調達した。僅かなパーツしか使わなかったのでとても小さな電鍵になった。打ち心地はまあまあである。さすがに指先での打鍵になるがしっかり符号が打てる。デザイン的にも可愛いものができた。

 玩具で遊んでみたのだが、それなりに楽しむことができた。素材として利用するというスタンスで他にも変身させることができそうだ。このメタリック3Dパズルは他のモデルもあるようだ。メカとして飾っておくもよし、改造の素材として活用するもよし、楽しめそうなシリーズである。それにしても、この歳になって玩具売り場を徘徊するようになるとは思いもよらなかった。

ブログ投稿日数500日

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500回目の投稿になりました。感謝です。


 この「XRQ技研業務日誌」ブログは2006年3月26日から始まっている。「 ブログのデビューです」というタイトルで取り留めのない話題が綴られている。当時、これとは別にホームページを公開していたが仕事も多忙でなかなか更新ができず、ブログという新しいサービスができたと言うことで飛びついたのだった。小さな写真と共に、特にテーマを決めることもなく日々の出来事を書いていた。それでもこの年には100本のブログがアップされている。
 その後も不定期に折に触れて書いて、俳句の季語のようにその時々の話題を書き出しの部分に入れる試みをしていた。公開はしていたが誰かに読んでもらうという意識より自分自身の記録という意味合いが強かったように思う。楽しみに関わるものだけでなく母や義母との別れなど辛い気持ちを吐露する記載もある。
 これまでの記載を改めて見てみると趣味のアマチュア無線やもの作りについての記事が多い。「XRQ技研は日々の楽しさを探しています」というコンセプトでハムの楽しさや自作のおもしろさを多くの人たちに知ってほしいという思いが出てきていたようだ。

 おもしろいものでタイトルによって閲覧数が大きく違うことがあった。タイトルの付け方によっては異なった趣味の人たちの興味を惹いてしまう恐れもあるようだった。検索という便利なツールによって検索ワードによっては意外な人たちにも公開される怖さも知ったのだった。
 退職をして自由な時間がもてるようになってからはブログを更新することを自分への課題とするようになった。定期的に一つの文をまとめるという目当てを持つことで老化防止を図っている。特にテーマは限定しないというコンセプトを保ちながらも、主な題材は趣味の世界が中心になっていった。書く内容が見つからないこともあるのだが、書かねばという意識を持つことで頭と手を使っている。いろいろなことに興味を持ち身体を動かさないとアイディアは生まれてこないものである。日々の暮らしの中にテーマを見つけ構想を練る。思いついたままを文章にしてしばらく寝かせておく。そして何度か読み直して推敲をする。立派な文章は書けないが老化防止の薬だと思って続けている次第である。
 
 こうした駄文は日記として個人の中に書き留めておけばよいようなものだが、誰かに読んでもらっているということが励みになっていることも事実である。ある意味自己満足の行為ではあるが人様の迷惑にならないよう気を付けながら、501回目へと進んでいこうと思う。

Shig (id:shig55) 15年間の記録である。

アンテナ Trap

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熱収縮チューブで密閉する工夫をしました

 

 キャパシタとコイルを並列に組み合わせた回路がある周波数で共振した時、そのインピーダンスは最大となる。これを利用して電気的にアンテナエレメントの長さを区切る方法がトラップである。
  アンテナの長さは基本的にはその使おうとする周波数の波長に合わせると効率が良いようだ。そのため一つのエレメントを複数の周波数で使おうとすると、その長さを周波数ごとに変えなければならない。例えば、7MHzでは半波長の長さは20m、10MHzの場合は15mとなり、給電点から15mのところにスイッチを入れ、スイッチを切って10MHzを運用し、スイッチを入れて7MHzを運用するという具合だ。しかし、空中に設置したエレメントの途中にこのようなスイッチを取り付けることは実用的ではない。そこで、このトラップの登場となる。給電点から15mのところに10MHzに共振する回路を挿入する。エレメントに10MHzの電波が乗るとこのトラップはインピーダンスが最大となり、電気的にこの先のエレメントを切り離したと同じような状態になる。また、7MHzで運用するときには共振していないのでこのトラップはエレメントの一部のように動作し、その先のエレメントと一緒になって7MHzのアンテナとして動作するのだ。
 
 さて、製作である。有難いことに、トラップを製作するための計算機がネット上に公開されている。必要とする周波数を入力すると最適なインダクタンスとキャパシタンスを答えてくれる。これを使わせてもらいそのインダクタンスのコイルを巻けばよい。エレメントとしても動作させるので空芯のコイルが望ましいのだが、QRPでの使用ならばトロイドコアを使ってもどうにか動作しそうである。
 これも有り難いことにトロイドコアの種類ごとに、インダクタンスを入力すると何回巻けばよいか答えてくれるサイトがある。その巻き数のコイルを作る。キャパシタンスは計算通りの値のものは入手が難しい。そこで複数のキャパシタンスを組み合わせて求める値に近づけていく。
 出来上がったトラップは計算上のものであり、求める共振周波数に合っているか不明である。アナライザーなどを使って測定すると、ほとんどの場合期待値からずれている。そこで巻き数を増減したり、巻き方の粗密を変えたりして期待する周波数で共振するように調整する必要がある。
 トラップをエレメントの途中に入れるのだが、私はインシュロックなどで作った輪に両側のエレメントを結び、その輪の中にトラップを入れて、エレメントのテンションがトラップにかからないようにしている。
 これに熱収縮チューブを被せて保護する。全体を覆うように被せ熱風を当てるとトラップ部分を包んでくれるがエレメントが出ている両端は開いている。そこでこの中にホットグルーと呼ばれる熱することで接着に使用する樹脂を入れ、熱風を加えて融けているうちにペンチなどで口を綴じてしまう。こうすることでエレメントの途中に密閉したトラップを設置することが出来る。  製作記事
 
 給電部に近いエレメントの長さはほぼ計算通りだが、次の周波数のエレメントの長さはトラップがローディングコイルの働きになるため測定しながらの調整が必要である。

 1本のエレメントを設営するだけでアンテナの切り替えを気にすることなく複数のバンドに出られるのは便利である。ネットの助けを借りながら自分で設計したかのような雰囲気を味わえるのもいい。モノづくりと無線運用が共に行えるハムの楽しさである。

計算機屋かく戦えり

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計算機屋さんたちの奮闘のドキュメント

新装版 『計算機屋かく戦えり』 遠藤 諭 株式会社アスキー

 古い本である。初版が1996.11/10発行、私の読んだ新装版が2005.11.15の発行である。著者の遠藤諭さんは月刊アスキーの編集長を務めた方で、ここに収録された記事は月刊アスキーでも連載されたものだという。
 日本のコンピュータ開発に携わった方々へのインタビューであり、それはまるではコンピュータ博物館のような内容である。30数名の方の話が掲載されていてコンピュータ開発に関わる多方面からのアプローチである。本書が刊行されてから情報処理学会というところでコンピュータに関する資料をまとめたコンピュータ博物館がネット上に作られたという。時代を変革する存在となったコンピュータの誕生についてこのように記録としてまとめておくことは大切なことだと思う。なお、ネット上の博物館では多くの人の力で集められたさまざまな資料が閲覧できるのは有り難い。

 手元にカシオメモリー8Rという電卓がある。蛍光表示管を使った8桁の四則演算の機能だがまだ現役である。この小さな電卓もコンピュータ開発の系譜の中から生まれてきた。日本には和算という文化があった。数学的な問題を解くことを目指して寄り合い楽しんだという。問題が解けるとその解を扁額として寺社に納める風習もあった。計算は生活に必要なことで算木や2進・5進法であるソロバンが計算に使われてきた。社会生活においても大量の計算が必要な場面が増え、手計算では追いつかない状況から機械式の計算が行われるようになっていった。10進数の歯車を用いた機械式計算機、ヘンミ計算尺、数表を用いた計算法などさまざまな方法が用いられた。さらに戦時中の弾道計算、暗号機、論理回路の基となる数学理論などから真空管式の計算機が誕生したという。世界初のコンピュータとしてENIACが有名なのだが、国内でも独自の開発が進められていたようだ。その当事者の方々のインタビュー集が本書である。
 さて、古い本とはいっても、これらの出来事は私の過ごしてきた日々と重なるのだ。コンピュータの誕生から今のように世界の有様を変えてしまった存在になるまでリアルタイムで体験してきた。コンピュータの開発の中から電卓が誕生し、電卓から4004のCPUが生まれ、Z80の誕生で私が最初に触れたマイコンPC8001(Z80A互換)が出ている。
 ASIMOが二足歩行を始め、AIBOがペットとなり、行政手続きがオンライン化している。AIがさまざまな場面で動き出し、IoTが家電を結びつけ、テレビではドローンからの綺麗な映像が流れている。計算機屋と称された人々の技術が大型コンピュータだけでなく広く生活の中に広がった。インターネットと繋がることでコンピュータは情報機器として大きな変身を遂げた。計算をするだけの機器ではなく情報を処理することがその機能の中心になったのだ。

 先日、量子コンピュータの素子の開発が進んだとの報道があった。日本の技術開発は特定の個人が事業を興して進めるという形より企業や国が連携して進められることが多い。個人にスポットが当てられることは少ない。しかし、本書のインタビューを読むとその一人一人の情熱と努力が如何に新しい世界を切り開いてきたかがわかる。これまでの人々の足跡を知ることで刺激を受ける一冊である。 

BNC コネクター

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BNCでもいろいろの種類があります。

 

 接栓、接続端子、コネクターなどと呼ばれる部品は外部との接続を行うために使われる。アンテナなど高周波を扱うものでもM型、N型、BNC、SMA、F型、RCAなどさまざまなものがある。それぞれ用途が異なるのだが、私は周波数特性や扱う電力などからBNCを多用している。写真のものがBNCタイプと呼ばれるもので筐体(ケースなど)に取り付けるものやコードに取り付けるもの、基板に直接取り付けるタイプなどがある。
 今回BNCを使って作ろうと思ったのはコネクタに直結させた49:1のトランスフォーマーである。これまで同様のものを作るとき、筐体に取り付けるタイプのBNCを使っていたのだが、熱収縮チューブを使ってのまとまりが今一つ良くなかった。GND側の金具が飛び出してしまうのだ。何か良いものがないかとネットで探している時に見つけたのが写真右下のコネクタである。筐体に取り付けるタイプではあるのだが、GND側が筐体に接続しないよう端子として出ているタイプである。この形状ならトランスフォーマーを取り付けても出っ張ることがなく収められそうである。

 実際に作ってみる。カウンターポイズを使うタイプのアンテナではGND端子が取り出せない難点があるが、私の実験ではカウンターポイズをつけなくても十分整合が取れることがわかっている。FT50-43のトロイドコアを使い、1次側を2ターン、2次側を14ターンの巻き線でコイルを作る。入力側をコネクタのセンターピンに、GND側に1次2次の共通部分を接続する。2次側のもう一方はアンテナエレメントへの接続である。組み上げて上から熱収縮チューブを被せ、アンテナエレメントへのラインの強度を補強するよう細い熱収縮チューブを使って覆うようにする。
 このコネクタを使うことで以前に作ったものよりすっきりとまとめることが出来た。これに所定の長さの線を取り付けアンテナとする。通常使用する形状に伸展し、アンテナアナライザーを使ってエレメントの長さを調整するとSWRはほぼ1に近い値まで落とし込むことが出来た。アンテナをリグへ直結することで同軸ケーブルを省くことが出来、移動運用時の持ち物を減らすことが出来る。

関連記事

 コネクター等の部品はさまざまな用途を想定して作られている。個人では特注して好みのものを作るのは儘ならず市販のものに頼るしかない。しかし、自分の求めるものの視点から用途を変えれば使える場合がある。こんなところにも柔らか頭が必要なようである。

MLA キャパシタ部と給電部の一体化

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2つのタイプで一体化の試み

 三角帆型MLAでも実験したのだが、給電をループの対角線に位置で行うのではなく、キャパシタの傍で行ってもMLAとして動作した。また、ループの形が輪の形になっていなくても、歪な形の輪であっても交信することができた。放射効率など性能については定量的な測定を行う術がないため不明であるが、「それでも電波は飛んでいく」ことは確かめられた。
 そこで、もっと大胆にMLAを作ってみることにした。キャパシタ部と給電部を一体化させ、それに適当なワイヤーを接続する。ループの伸展は円になることに拘らず、その場の状況に応じて広げるというアバウトな方法である。この方式なら持ち運びに嵩張って困っていたアンテナを小さくまとめることができる。
 手持ちの260pFのポリバリコンと、FT37#43のトロイドコア、そしてBNCコネクタを一つにまとめてみた。トロイドのリンクコイルの巻き数は5Tとした。ワイヤーを接続する部分はビスと蝶ねじを使ったターミナルである。これに3mほどのワイヤーを接続すると14MHz、10MHz、7MHz帯でSWRが通常使えるほどに下がる整合点を見いだすことができた。これより高い周波数ではSWRの値があまり下がらなかった。エレメントのワイヤーを短くしたり、リンクコイルの巻き数を減らしたりすると高い周波数でもSWRが下がるようである。MLAは同じ大きさのエレメントや同じリンクコイルの巻き数で広い範囲の周波数で使うのには難があるようだ。 製作記事

 整合することはわかったので実践で試してみる。樹木の枝などを利用してワイヤーエレメントを伸展する。今回、パラコードを使い逆三角形の伸展をした。パラコードの中ほど二か所にバタフライノットで輪を作る。その輪にエレメントを通し、下に垂れたワイヤーに給電部(キャパシタ部)を接続する。パラコードを水平になるよう張れば逆三角形のMLAになる。コンパクトな装備を目指しているのでアナライザーなどの測定器は使わず、受信機のノイズの大きさだけでキャパシタの調整をする。ポリバリコンを回して一瞬ノイズが大きくなるところを見つけるのだ。
 結構たくさんの局のシグナルが聞こえてくる。しかし、CQを出している局に呼びかけても無視されることが多い。この小さなアンテナでは放射効率が低いのだ。それでも強力に入感している局に呼びかけをしているとコールバックがあった。近隣の県の局ではあったが交信することが出来た。
 空間に占めるアンテナ面積という視点からEFHWやダイポールなど半波長や一波長に伸展したアンテナの方が効率がいいのは明らかである。しかし、このようなコンパクトでアバウトなアンテナでも交信することが出来るのが面白い。さまざまな偶然が積み重なって一期一会の出会いを楽しむ。これもアマチュア無線の醍醐味なのではないだろうか。