XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

QMX ビルド

なかなか手強いキットです。

 5月下旬に発注し、手元にキットが届いたのが8月初旬。しかし、製作を始めることに躊躇していた。
 このキットはデイトンハムベンションでプレ頒布され、ベテランのハムの人たちが製作、その情報がフォーラムを賑わせていた。回路的にも構成でもユニークなキットなのだが、組み立てには皆さん相当に苦労されているようだった。
 組み上げた人から動作についての課題も上げられるようになっていた。このキットをデザインしたHans Summerが対応していたが、寄生発振による20mバンドの出力低下に対応するため回路を変更することになった。そのため製作マニュアルが頻繁に更新され001hになっていた。(現在は001i)
 また、組み立て途中でのさまざまなトラブルが報告され、Hansから「組み立ての52のこつ」という動画が公表された。フォーラムでも複数の人から組み立ての注意点が出されていた。なにしろこのキットはQCXminiやQDXという小さなリグと同じ筐体の中に5バンド、マルチモードという多機能な基板を詰め込んでいるのだ。実装密度がとても高く、マニュアル通りに慎重に組み立てる必要があるようだ。

 そのような訳で、状況を見ながら作業を始めるのを遅らせてきたのだが、フォーラムなどで知る状況が落ち着いてきたようなので作業を始めることした。繰り返しマニュアルや注意点を読んでいたのだが、実際に作業すると迷うところもあった。基板はほとんどがSMD(表面実装部品)で出来ており、自分で取り付けるのはコンデンサやコイルなどとコネクタ類だけなのでこれまでのキットと比べれば数的には楽である。しかし、細かな作業になるので神経を使う。それでもトータル12時間ほどで組み上げることができた。Hansの工房では組み立て済みのキットを週に25台作っているとのこと。その中で得られトラブル対応のログが、トラブルシューティングとして公開されている。それら先人の知見を参考に、一つ一つ確認しながら作業することができた。
 出来上がったキットに最初に通電することをスモークテストという。基板の中にハンダブリッジや誤配線、部品の間違いなどがあると大きな電流が流れ基板から煙が出てしまうことがあるからだ。緊張するこの関門を通過すれば一安心である。ただ、このキットの場合、ここからファームウェアを導入する作業が必要になる。私はPCに接続するが認識してくれなかった。ハブを介しての接続ではなく直接接続することでファームウェアの導入ができた。組み上げたキットにQRPLabsのロゴが表示されたときは感激である。

 局に新しい送信機を追加するために認証を得て総通に変更届を出した。このキットはマルチモードなのだが、私は電信専用機として3.5、7、10、14MHzの4バンドでの運用とした。 

 小さな無線機QMXの組み立てや操作についての丁寧なマニュアルが公開されている。暇に飽かして翻訳したものをHansの了承を得て私のサイトXRQTechLabに置いている。手作りのリグでハムライフを楽しむ方が増えることを願っている。