XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

目からうろこ

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基板を分離して回路をトレース

 JL1VNQ小野さんから提供いただいた、VN3002を組み立てている。前回、VN4002がうまく動作せず、小野さんに助けていただいたので、今回は自力で完成させたいというリベンジである。
 このキットは表面実装部品で構成されている。基板上で部品の間隔を広くとっていて組み立てやすいように配慮されている。半田ごても変え、ハンダ付けについて再度学びなおし一つ一つの部品を注意深く組み込むように心掛けた。しかし、部品がとても小さく、コンデンサは1mmにも満たない大きさで、ルーペを使わなくては作業できない難しさである。通常はマウンターという機械による実装が行われるのだが、それを手作業ではんだ付けをする。ちょっと油断すると部品がはんだごてに張り付いてしまったり、ピンセットで挟もうとした瞬間に弾き飛ばしてしまったり、気の抜けない作業だった。
 とりあえず、すべての部品の取り付けが終わり、調整の段階になった。しかし、正常に動作していない。このキットは2枚の基板を重ね合わせる構成になっていて、基板を確認するには重ね合わせた内側で作業しなければならない。2枚の基板の間の狭いスペースにどうやって測定器のプローブを差し込んだらよいのか悩んでしまった。
 小野さんにヘルプを求めると、思いがけない助言を得た。基板を分離してリード線で接続し、動作させながら作業するという方法である。目からうろこのアイディアである。考えれば当たり前なのだが、重ね合わせて動作させるということに固執していて、思いつくことがなかった。
 さっそく2枚の基板を分離して、リード線でつなぎ、動作させてみた。送信部が出力が出ていない問題については、電源の流れと、信号の流れをトレースしていくと、ロジックICへの電源が来ていないことがわかった。三端子レギュレターからの出力がない。この部品を取り外し、手持ちのスルーホール部品で代替させた。これで、送信出力が出るようになった。
 受信部も、動作していない。スピーカー出力に近い方から順に信号をトレースしていく。コントロール部からの信号やキーヤーのサイドトーンは正常に出ている。AF段は大丈夫のようである。中間周波数増幅部もノイズを確認できるので大丈夫そうだ。DBMへのローカル周波数入力も確認できた。高周波増幅段からの信号が来ていない。この辺りに動作しない原因がありそうである。FETの向きを逆にしてしまった可能性もある。この部品は向きを示す小さなドットが記されているのだが、何回ものフラックスの清掃で消えてしまっている。また、DBMは6本足で取り外しが難しい。さて、どうやって取り組むか、まだまだリベンジへの道は遠い。
 青鬼といわれるこのキット、鬼という名前がふさわしい。今回、小野さんの助言で基板を分離して調整を行うという、目からうろこの方法を学んだ。こういう新たな発見があり、謎解きの迷宮があるから自作はおもしろいのだ。