XRQ技研業務日誌

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スペース

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モールス符号の構成

 

 夢や不思議がたくさん詰まっている宇宙空間ではない。また、居場所がないというような空間でもない。文字と文字の間の空白という意味合いのスペースである。

 モールス符号は音があるかないかの時間的流れの組み合わせとして構成されている。短点を1とすると、長点を3とし、音の間を1,文字と文字の間を3,そして、語と語の間を7という構成である。短い音と長く続く音を区別し、その音の組み合わせで文字を構成している。音に注意が行きがちなのだが、その音が意味をなすためには音のない空隙(スペース)の時間が大事なのだ。
 たとえば、短点一つではE、長点ではTを表す。短点の後に短点の長さ以上のスペースがあるとEとなるが、短点と同じ長さのスペースの場合には次の音と組み合わされて別の文字になる。短点の次に長点がきて、そのスペースが短い場合には2つの音でAとして認識される。また、短点の後に長点分のスペースがあれば、短点とは別の文字として認識され、ETとなる。

 このスペースをしっかりと作らないと符号がわかりづらくなり、通信に混乱が生ずる。
 モールス通信では平文で行う以外に略語を使う場合が多い。Thank youという意味でTKSやTNXという符号列を送ることで「ありがとう」という意味を伝達するのだ。同じ意味でThank YouをTUと略すこともある。交信の最後、お互いに挨拶を送りあい、GB GoodByeやCUAGN SeeYouAgainを送信する。そして最後にXと送ってくる局がある。このXがどういう意味なのかわからなかったのだが、最近、気がついた。XではなくTUだったのである。Xは-・・-、TUは- ・・-なのである。文字間のスペースが短くなって別の符号になってしまったのだ。
 また、先日、CQを出していく局を見つけ聞いていたが、その局のコールサインがわかりづらい。ようやく解読して呼びかけた。すると、相手局からコースサインの訂正を求められた。コールサインの一部をUUとして送ったのだが、相手局はIXだという。Uは・・-、Iは・・、Xは-・・-である。IとXがくっついてしまうと・・-・・-となり、聞き方によってはUUと聞こえてしまったのだ。文字間を短点3つ分以上空けていないことからの誤認である。

 最近はエレクトリックキーヤーが普及し、電子的に長点と短点を生成し、スペースもある程度自動的に入れてくれる。しかし、スペースを1短点分なのか、3短点分なのか、7短点分なのか、意識的に区別して入力しないと、エレクトリックキーヤーでも誤った符号列になる場合がある。モールス符号は単純で人が耳で聞いて直接認識できる語である。相手に伝わってこそ意味のあるものだ。スペースを意識してしっかり符号を構成することを大事にしたい。