XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

「宇宙から帰ってきた日本人」

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 アポロ11号の月面着陸からすでに半世紀が経過した。宇宙への挑戦も様々な分野で行われ、宇宙への知見も深まっている。宇宙へ行った日本人は、これまでで12人だそうだ。その中には何度も宇宙へ行っている人もいるので、その人々から多くの情報がもたらされている。「宇宙よ 秋山豊寛との対話」立花隆著、「宇宙へ 出張してきます」古川聡著、「ぼくの仕事は宇宙飛行士」若田光一著、「毛利衛、ふわっと宇宙へ」毛利衛著、など、宇宙飛行士自身が書いた著作やインタビュー記事など、宇宙への様々な関心からの情報を得ることができる。この本は「宇宙飛行士が宇宙に出て何を感じたか」をテーマに12人の人々にインタビューしたものである。
 「離見の見」という言葉がこの本の中に出てくるが、地球を離れ、宇宙から対象としての地球を見たとき、人は何を感じるのか。宇宙とはいっても、地球の周りをまわっているISSでも、地表から400kmしか離れていない。大気圏を飛び出し、重力を感じなくなった地点で、ほんの少しの高みから地球を眺めるという状況である。「はやぶさⅡ」が飛行している惑星間の宇宙とは全く別のところだとは思うが、それでも、誰もが未体験の領域に身を置いたとき、何を感じるのかはとても興味を惹くものである。
 12人の飛行士のインタビューを読んでいくと、当然だが、それぞれ異なった感じ方をしている。先人の経験が伝えられ、それをもとに訓練を積んでいるのだから、自身は未体験であっても、知識としては先人の経験を吸収し、新たな挑戦をすることになる。私たちがこの世に生まれて育つ過程においても、その時代までの人類の経験を踏まえて生活していくのと同じなのだろう。先人の経験が文化として自然に身についているのだ。
 宇宙に出た人々はその経験を伝えようと様々な試みをしている。著作であったり講演であったり、映像であったり、詩作であったり。しかし、「言葉が見つからない」という言い方がよく使われる。その時受けた感覚、心に迫ってきた感動、圧倒的な力を感じるという状況を表現することが難しいという。特にISSの中から見ていた地球を、船外活動で外に出て地球を目の前にした時の体験をどう表せばよいかという記述が多い。

 地上から空を眺めている身にとっては、想像を膨らませるしかないのだが、街の明かりを見ることができるようなほんの少し離れた地点から地球を見ることで様々な思いが湧き上がってくるという経験を聞かせてもらった。
 2024年までに月面に人を送り込む「アルテミス」計画が発表されている。2020年には野口さんと星出さんが再び宇宙に滞在する予定がある。そして、「はやぶさⅡ」がリュウグウからのサンプルを持ち帰ってくる。宇宙とは、地球とは、人間とは・・・思いを抱かされることが山積みである。