XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

自助、共助、そして公助

TFDV光が丘

 1月17日午前5時46分、19年まえのこの日、まだ床の中にいた私は揺れを感じたが、大きな揺れでもなかったので気にもしなかった。朝食の食卓に座ったとき、テレビの画面に釘付けになった。街のあちらこちらから煙が上がっている映像が流れていた。何が起きたのか、まだ状況が掴めなかったが、尋常ではないことが起きたとわかった。
 阪神淡路大震災。多くの方が亡くなり、被災された。亡くなられた方々の冥福を祈りたい。合掌
 これまでも多くの災害が発生していた。しかし、この震災は一つの都市がその機能を失ってしまうほど被害が甚大で、その全容が分かるまでに長い時間がかかったことが特徴的であった。情報の来ないところに大きな被害が起こっているということ、そしてこのような大災害では初期段階には既設の機関では対応できないことを実感させらた出来事であった。
 平時では火事や事故などが発生しても電話1本で救助要請ができ、迅速な対応が期待できる。しかし、災害時のこのような同時多発の状況では公的な組織も対応ができないのだ。 神戸市消防局では、はっきりとそのことを住民に伝えることにしたという。大きな災害が発生したときには消防は消火活動に専念し、救助救急は二の次にするという方針を打ち出した。阪神淡路大震災に続き、東日本大震災という手厳しい災害を経験し、平時とは異なる対応を目指しているのだろう。
 「自助・共助・公助」という言葉が良く聞かれる。平時には公助が機能するので特に問題はないのだが、非常時の初期段階では自助・共助が中心になるのだ。
 大きな災害を目のあたりにして私達が学んだことは、「今日という日が明日に続くわけではない」「自分の身は自分で守る」ということである。いつ、何が起こるか分からないのだからそれぞれが備えをし、今を大事にする。誰かではなく、自分がどうするのかを考える。これまでの、言葉も出ないほどの被害を経験した中で実感したことである。
 宮城県沖、首都圏直下、東海・東南海、南海地震とその発生が予測されている。また台風や津波などの災害もいつ起こるか知れない。やっと落ち着いてきた今だからこそ、備えが大切なのだ。災害対策は国や自治体、そして会社・学校などの組織、地域や各家庭、そして一人一人、とさまざまなレベルで進められている。
 私は東京消防庁災害時支援ボランティアに登録した。普段の活動は学校や施設、町会などで胸骨圧迫心肺蘇生法・AEDの取り扱いを指導することが中心である。また、それらを指導する中で応急救護としての止血法や包帯法、窒息時の対処法、身近なものを使った傷病者搬送法や感染防止の諸注意など、一人一人が身につけておけば非常時に役立つと思われる知識の普及に努めている。その場に居合わせた人がその場で対処できるような技能を普及していくことが大切だと考えている。
 家具の転倒防止や落下物の防止、停電時の非常灯、1週間分の食糧備蓄、家族の連絡手段の確保など家庭での備えと同時に、自助・共助の質を高めるためには平時からのこのような活動がもっと広がっていくことが必要だと思う。ボランティアに登録していても災害時には自分が被災し、活動に加われないかも知れない。多くの人々と共に備えを考え、自助・共助の力を高めていくしかないように思う。
 災害の犠牲になった多くの方々の思いをこれからに引き継いでいきたい。合掌