XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

「顔晴れ」るように

山道に咲いていました。

 ゆっくりとした歩みの台風と気圧配置の影響で、紀伊半島周辺に猛烈な雨が降り、「想定外」という雨量による土砂崩れや洪水などの災害が発生した。そして多くの方が被害に遭われた。まだ見つかっていない方もいる。亡くなられた方々のご冥福をお祈りしたい。今年はどうして自然の様相がこれほどまでに荒ぶるのだろう。

 テレビ番組を見ていたら、東北地方の方が背中に「顔晴れ」と書かれた着物を着ていた。「みんなの顔が晴れるようになりましょう」という意味だという。「日本がんばれ」「東北がんばれ」という言葉を聞くたびに、「頑張れ」という言葉に違和感を感じていた。この応援の言葉は相手と自分の立ち位置が違うからだ。しかし、「顔晴れ」は目標であり、同じ立場で言える言葉である。大きな災害は時間の経過と共に様相が変わってくる。復興に向けて多くの力を長期的に結集していきたい。
 
 奇しくも10年前の今日9.11のテロが、半年前の3.11は東日本大震災が起きた。テロから始まった戦争ではこれまでに22万もの人命が奪われたという。人的災害、自然災害と原因は異なるが、一瞬のうちに多くの方々が日常を奪われてしまったということでは、その衝撃はとてつもなく大きかった。
 日々のルーティンを何気なく繰り返していることがいかに幸せであるかを、心の底から思い知らされた。今日が明日に続くという保証はどこにもなく、一人一人の明日は全くわからないのだ。
 先日、この地区に配られているコミュニティー紙を読んでいると思わぬ記事にぶつかった。過去数年の間にこの地区で身元不明で亡くなられた方々の服装風体や発見された場所などは地図の上にプロットされ示されていた。毎日生活している街の中でもこれほど多くの方が身元不明とされ葬られていた。
 社会のシステムはさまざまな面で整備され、人々が幸せに生活していけるように工夫されてきた。そのおかげで「今日は明日に続いていく」と無意識のうちに信じ込んでしまっていた。
 毎日が顔晴れるように、一日一日を大事にしていきたい。自分自身を大事にし、周りの人々を大事にし、地域を、地球を大事にして、今生かされていることの奇跡を大事にしていきたい。大きな災害で気づかされたこのことは、非業の中で日常を奪われた人々に対しての私たちの務めであると思う。合掌