XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

ネットから見るHB-1Aの変遷

EK-1A/B  from Youkits

中国版のKX-1とも言われるQRPのHF機だが、その派生版と思われる機種がいくつも出ている。どのような流れでこの機種が成長?してきたのかネットを巡りながら探ってみた。

HB-1 中国で BU XIANZHI (BD4RG) さんがKX-1のような機器を開発したようだとい うことが、日本でブログなどに出始めたのが2009/04頃のようである。このころはキットで配布され、部品も全てホールスルーだったようである。まだ販売店からの頒布はなく、人づてでキットを手に入れ、技術のある人たちが組み立てに挑戦していた。
HB-1A まもなく2009/05/13 "eham.net" にレビューが出てくる。これによると部品がSMDに変更になったようで小さな部品に苦戦している様子がわかる。回路図を見るとHB-1A2が 2009/3/31の日付になっている。その後HB-1A3が 2009/08/05、 HB-1A3B が2009/8/5 、 HB-1A3Cが2009/10/19に出され、少しずつ変更が加えられている。回路図のHB-1A5 が3Cと同日の2009/10/19に出されているが、内容がどのように異なるのかは明らかではない。
2009/10/10、"HB-1A building Wiki"にJim Hurwitz, W1FMGが初めてのコメントを書いている。このサイトはキットを組み立てる際のノウハウを交換することが目的だったようでたくさんの書き込みがある。このサイトに上記の回路図などがリンクされている。HB-1A5Cについては"VE6AQOのChina"サイトにリンクが張られている。
TENTECからR4020 R4030という2機種が発売され、2010/06/09 "eham.net"にレビューが出ている。この製品は完成品として出されたようで、回路的には HB-1A3BかHB-1A3C のようだが、周波数構成がHB-1Aが3Bandであったのに対して7MHz・14MHzと7MHz・10MHzの2Bandになっている。
日本では 個人的に中国のBU XIANZHI さんと連絡を取って個人輸入をしていた方もいたようだが、2011/08/22にICAS enterprisesが販売の広告を出している。この会社で販売されたものは完成品のみで7/10/14MHzのものである。製品には簡単な取扱説明書だけで回路図は添付されていなかった。
その後、MFJからMFJ9200シリーズが出されている。外見などHB-1Aとよく似ていて、LCD表示部が小さくなり、筐体も一回り小型になっている。MFJからは回路図などの情報は問い合わせにも応じてくれず不明である。HB-1Aとの大きな違いはバンド毎のモジュールを交換して3.5,7,10,14,18,21の6Band に対応していることである。この頃Mr BUがHB-1Aのバージョンアップ版を出すらしいとネットで話題になっていたのが、このようにモジュールによる多バンド化となったのかと理解された。なお、このMFJ9200の中身については現物を目視して、同じようなデバイスが使われているのは確認できたが回路の解析まではできていない。この機種についてのレビューは2011/07/04から"eham.net”に掲載されている。
カナダのYoukitsからHB-1B Mk2という機種が発売された。2011/11/12に ”eham.net”にレビューが掲載されている。この機種は3.5、7、10、14MHzの4Bandを搭載したもので、回路図は2011/07/04にHB-1B8 として公開されている。IF filterの調整ノブが加わり、筐体もHB-1Aより一回り小さい。TENTECではR4020、R4030が扱われなくなりYoukitsのこの機種を扱うようになった。
2013になると横からの操作にデザインを変えたEK-1A/BがYoukitsから販売された。回路図は EK-RF1 2013/07/26として公開されていてMr BUの設計である。この機種に対するレビューは2013/10/21から ”eham.net”に出ている。これはキットという扱いで出されているが、メイン基板はほとんどのSMDが取り付け済み、コントロール部や表示部は完成、調整済みである。ほんのわずかなスルーホール部品を組み込むことで完成することが出来る。LCDも小さくなり、機能が整理されて使い勝手がシンプルな構成になっている。AとBで周波数構成が異なり、Aは7,10,14MHz、Bは14,18,21MHzの構成になっている。
Mr BUの設計が今後どのような方向に進むのか楽しみだ。できればどのメーカーも回路図を公開し、もの作りの楽しさを味わわせて欲しいと思う。既成のリグを使うだけではHAMの楽しみは半減してしまうからだ。