XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

Capacitor Mag Loop

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Capacitor Mag Loop Tuner

 それはある画像を見つけたことから始まった。MLAのデータを検索していた時である。画像のまとめをしているサイトに見慣れない回路を見つけたのだ。ループアンテナなのだが、スモールループやトロイドコアでの給電ではなく、キャパシター部分から給電している。ループアンテナなのだろうかと眺めていると、そこにMag Inpedance Matchingという文字があることに気づいた。マグネチックループの一種のようである。
 そこでさらに検索を進めると同じような回路だと思われるものがMFJからQRP用の9232やハイパワー用の933、935B、936B、という製品で販売されているのを見つけた。
 これまで作ってきたMLAとは異なる給電方法なのでどのような動作になるのか試しに作ってみることにする。回路は単純だが、どのような部品を使うかは不明である。手持ちのものを組み合わせてとりあえず実験した。この回路では二連のキャパシターが使われている。手元にあったのは40pFの二連ポリバリコンである。これとEFHWチューナーなどで使っている一連の260pFポリバリコンで組むことにする。MFJの製品を使っている方からの情報ではループになるワイヤーの長さが使用するバンド毎に推奨されているという。とりあえず18MHzバンド用の長さと言われる2.75mのワイヤーを組み合わせてみた。
 アナライザーで測ってみると、24MHz、21MHzで整合点が見つかった。2つのキャパシタを交互に動かしながら最良点に絞り込んでいくようである。1つのキャパシターを使うMLAのようにLCによる共振点を探るのではなく、もう一つのキャパシターでマッチングを行い同調点との相互作用の中から最良点に追い込んでいくようである。18MHz用ということでループに使うワイヤーの長さを決めたのだが、二連のポリバリコンを最大値にした辺りでやっと整合を得ることができた。どうやら40pFという値はこのループでは小さすぎるようである。
 部品の定数がわからず、試行錯誤での実験であったが、アンテナとして整合点が得られることまでは判明した。リグに取り付けて受信してみたが、明らかに利得は低いようである。送信もできるようだが、コンディションにも恵まれず、交信には至っていない。
 
 このアンテナのメリットは給電点がキャパシターと一緒の位置にあるので、ループの設置がより自由になることである。木の枝に引っ掛けて、左右に輪を広げるような支えを入れれば、一番下にチューナーを置くことができ、調整が容易である。
 理論的なことは全く分からず、実験だけを頼りに楽しんでいるのでとんでもないことをやっているのかもしれないが、いろいろと探っていくのが楽しみなアンテナである。