XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

働くということ

shig552012-11-26

これまで日本の経済を牽引してきた大手家電メーカーがこぞって大きな赤字決済を計上している。技術開発によりより便利なものを、より生活を豊かにするものをと突き進んできたのだが、生産は低価格化、効率化の波に押され新興国の企業に押し切られてしまった。基本技術の開発、技術のブレークスルーが行われた基盤の上に長く留まっていることができなかった。情報の共有が進み、生み出した技術はさまざまな展開で活用されていく。先行しているからと言ってその技術を独占できるものではない。開発のスピードがこれまでと格段にちがうのである。
新たに生み出すことよりもそれまでの成果を活用することで利益が生み出される傾向になっている。先攻よりも後攻の方が有利なのだ。産みの苦しみよりもいかに大きく育てるかが課題になっている。さまざまなしがらみのない新興勢力の方が思い切った対応ができ生産はやりやすい。大量生産と低コスト化が進み、開発コストが少ないほど利潤が大きくなる。液晶パネルにしろ、光電池にしろ、じっくりと育ててきた企業本体は追い越されてしまった。経済不況でデフレが続き、ものの値段が下がっている。開発コストを回収する前に製品の値段が下がってしまう。このような状況の中ではこれまでの経営では世界の「負け組」になってしまう。企業は生き残りを賭け、人員削減、スリム化を目指している。そのため企業を支えてきた技術力を削いでいる。新たな競争力を付けない限り生き残れないのだが当面の生き残りを掛けて模索が続いている。

 今、特に元気がのいいのはSNS業界だ。ソーシャルネットワークやオンラインゲームなどの交流コンテンツで、ネットの中の世界でさまざまなビジネスモデルが構築され、巨額のお金が動いている。利用する人々はそのバーチャルな世界で生活し、通信末端の前であちらの空間をさまよっている。人には生物として衣食住を基本とした生活があり、実体として自然からの恵みを得なければならないのだが、意識の上ではバーチャル世界の方が優位になっているようである。料理をしたり洗濯をしたり、人の世話をしたり部屋を片づけたりする日常や、ものの生産や流通、サービスなどの実業の世界が軽視され、あちらの世界が主たる生活の場になってしまっている場合もあるという。
 ザッカーバーグFacebookや田中良和のGREEなどサクセスストーリーが話題になっている。そして若者の中にはその成功にあこがれ、高収入を求めて身を投じていくものも多いという。

 働くとは「生きていく」と同義であると思う。日々の生活の糧を手に入れるという意味合いもあるが、人として周りの人たちと手を携え、自分の役割を精一杯果たしていくことなのだと思う。
 自分の置かれた状況を見極め、自らの足で歩むこと。くれぐれも状況に押し流され自分の位置を見失わないようにすることが大事なのだと思う。
 社会状況はそれぞれの利害から経済の原則、人の欲望によって変化していく。その中で自分の立ち位置を定めておくことは難しいのだが、限られた時間の人生で確かめておくことも大事だと思う。旅立ちの時、自分の人生を納得するために。