XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

文化の日

益子の陶器市で瀬戸焼

 朝から爽やかな青空が広がっている。ニュースでは今日、褒賞を受ける人たちのことが話題になっている。それぞれの分野で活躍された人たちがその功績を認められ賞賛されるのは喜ばしい。
 文化勲章でもノーベル賞をいただいた方や演劇、建築、服飾などの分野で活躍された方が受賞されるのは我が国の文化水準を高め、後進を励ます上でも喜ばしいことだと思う。
 急に寒くなり、秋が来ないままに冬になってしまったような気候だったが、今日は青空が見え、気温も上がりそうである。なにか文化的なことをして一日を過ごしたいと考えた。
 この時期には陶芸市が開かれていることを思い出し、益子に行くことにする。
外環道から東北道に入り、北関東道を経て真岡から益子へのルートである。通常2時間ほどでたどり着く行程だが、今日は至る所で渋滞に巻き込まれ4時間以上もかかってしまった。
 益子の街は今日から陶器祭が始まるとのことで、大変な人出である。いつものように表通りではなく小さな路地や遺跡公園のテントなどを覗いて歩く。表通りには益子陶器のお店が軒を並べている。特に城内通りの辺りには名の通った店が多い。しかし、陶器市になると益子で焼かれている陶器を扱う店だけでなく、全国各地から陶器の作者がそれぞれの作品を持ち込み店を出している。今回もそんな店を訪ね歩いた。
今回、花器を手に入れたのは瀬戸焼の作り手からであった。しっとりとした白い生地の上にきれいな発色の模様が描かれている。浅い平板な造りなのだが、形がユニークで角を落とした三角形である。どの向きに使うかは生ける花によって変えられそうである。剣山を使ったり、水を張って花を浮かべたりしてもいいかもしれない。同じような模様の花瓶などもあったが、今回はこの平たい形に惹かれて購入した。作り手と話をしていると、このような形への要望が結構あり、時々作っているのだという。一つ一つが手作りで二つと同じ物がない。一期一会の出会いである。
 さて、花器を手に入れたが、これを置く花台がほしくなる。駅に近いところに材木屋さんがある。この店の方は気軽にこちらの要望を聞いてくれて、木材を切ったり磨いたりしてくれるのでこれまでも何回かお世話になっている。今回もケヤキの板を切ってもらった。手頃な板を見つけたのだが、花器に合わせると少し大きい。そこでこの寸法でとお願いしたのだ。そして切り取った端材も一輪挿しの花台としてもらってきた。

 益子に工房を持ち作陶しているのだが、本拠地は知床にあるというおもしろい店がある。星の宮の知床窯、本田さんご一家である。ご夫婦と息子さんでシンプルだが飽きのこない、品の良さが感じられるすてきな器を作っている。城内坂にもギャラリーを開いているのでお邪魔した。ギャラリーを一巡し、気になったのが、ちょっと深めの中皿で緑灰色の生地の上に白い刷毛引きの模様が入っているものである。眺めていると、奥さんが同じような造りだがちょっと変わった作品を出してきてくれた。刷毛目の皿の周りに斑点のような模様が入っている。色の違う粘土を埋め込み、削り出すことで作り出した模様だそうだ。この柄があることで刷毛引きの模様が引き締まっている。値段も高くなるのだが、よいものを見てしまうと先に見ていた刷毛引きだけの模様が物足りないものに見えてしまう。予定外の出費である。
 文化の日、突然の思いつきで出かけたのだが、充実した一日になった。