XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

機能と性能

shig552008-06-13

花菖蒲が冴えた色を競い合い、ラベンダーの香りがすがすがしい季節になった。街では省エネ、クール・ビズと言うことで、ネクタイを外した人々を多く見かけるこのごろである。
ミャンマーの台風被害、四川省の大地震秋葉原の凶行、大きな惨事が続いてしまった。人知を越えたところで私たち人間への警告が発せられているようにも感じる。時間の流れが速くなりすぎてしまっているようだ。ゆっくりと過ごすこと、スローライフを進めていきたいものだ。

街を歩いていて、ある言葉に出会った。「私を今、いのちが生きている」
自分よがりに人生を考えがちだが、生命の連続を考えると一人の人間の生は連綿と続いているいのちの一部分であることに気づく。身体の中で細胞が一定の周期で更新・再生を繰り返し、一見同じ肉体でありながら、その実は新たな細胞と置き換えられている。引き継がれているのは「いのち」。いのちが私という肉体と個の中を生きている。考えさせる言葉だと思った。

暑くなってくると、車の中での生活も厳しくなる。原則的に暑い季節は涼しいところに移動するのだが、時としてそうもいかないときがある。移動中はエアコンが使えるが駐車しているときには使えない。インバータと大きなバッテリーを積み込んで家庭用のエアコンを使っている人もいるが、大げさすぎる。そこで手軽な扇風機を使うことにした。
いくつかのカー用品店を訪ねたが、今時、車の中で扇風機を使う人はいないようだ。品物が見つからない。ネットで検索してみた。するといくつかの製品が見つかった。販売店は異なっても、同じ製品が多い。安価な店を選んで購入する。
発注して2日程で品物が届いた。画像で見たとおりの製品で、見てくれはよい。首振り機能が付いている。約60度の範囲でゆっくりと首振りをしてくれる。また、スイッチの切り替えで強弱2段切り替えが出来るようだ。さっそく、分解して機構を確認する。首振りはモータからの回転を減速歯車で取り出し、カムを使って動作させている。プラスチックの模型などで使われているような歯車なので、耐久性が心配である。強弱の切り替えはスイッチの切り替えでセメント抵抗を挿入する方法である。電流を制限することで回転を押さえている。

このまま使ったのではおもしろくない。まず気になるのが動作音である。ファンの風切り音ではなく、モーター自身の回転音である。これを改善するにはモータの交換など大がかりな対応が必要であるが、とりあえず、回転を遅くすることで音を小さくする対策をることにする。
抵抗挿入による対応では覚束ないので、DC-DCコンバータを使うことにする。幸い手元に秋月で手に入れたものがあるのでVR調整で5V〜12V程度可変出来るようにする。
まだまだ、回転音は気になるが、どうやら使えそうである。この製品はMade in Chinaだった。機能としては扇風機として使え、スイッチを入れればファンが回転し十分な風を送ってくれる。首振り機能も付いている。機能に関しては問題はない。しかし、日常生活で使うとき、求められる性能という点で考えると課題がある。特に動作音が大きいということである。音に関してはパッケージにも、カタログにも書かれていない。性能という視点では考慮されていないようだ。機能としては正常であっても日常使うものとして必要と思われる性能という視点も大事だと思う。
性能が向上していくのは製品が改良されていく過程なのだろう。よりよいものを、より些細なことにも配慮しながら改善していく。性能を高めていくことはもの作りの基本のようである。