XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

民と官

shig552006-07-22

子どもたちは夏休みに入ったようだが、まだ梅雨が明けていない。梅雨前線が南の海上に停滞し、今日も大雨警報が出ている地方がある。ここでも朝から小雨が降り、どんよりした雲に覆われている。あまり暑いのも困るが、青空が恋しいこのごろである。

朝の連続テレビで戦時中の生活の場面があった。展覧会を開き、その絵の検閲が行われている。一つ一つの絵を係官が見ていく。一つの絵に目がとまる。顔に布を被され横たわる兵士。その傍らの地面に銃剣が差し立てられている。「なんだこれは!」「誰が描いたんだ」「説明しろ」係官からの声が響く。
この場面で、妙に言葉遣いが気になった。あまり聞かない言葉遣いである。命令調の言葉遣いは最近ではほとんど使われていない。
スピード違反で反則切符を切られるときにも、「おい、こら」と言う調子ではない。紳士的な穏やかな対応である。役所での対応もお客様として扱われる。
行政=官と民衆=民の関係が大きく変化してきたのだと改めて感じる。行政は住民サービスという役割を持っているが、それは一面で統制・規制という役割を含んでいる。以前の官はこの統制という面を強く持っていた。官は組織体であり強力な権力を持っている。民衆は組織化されず、相互の情報も共有されず、バラバラであった。「お上(おかみ)」という意識で行政に従ってきた。
戦後、民主主義という考え方の元、さまざまな変革が行われた。民衆が情報を共有し世論を作ることが出来るようになったことが、民衆に大きな力を与えた。行政組織対個人という関係でなく、行政組織対マスとしての民衆、共通認識を持った民衆として対するようになった。
マスコミがミニコミになり、現在、個人が世界に対して情報を発信するようになっている。行政の統治という機能は形態を変え、情報を中心としたものになって行くであろう。
言葉遣いという一面にも、時代の変化が如実に表れている。また、逆に言葉遣いを変えていくことで人と人との関わりに変化を与え、社会を変えていくのかもしれない。