XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

野鳥の襲来

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オナガムクドリの襲来

 このところ、ギーギー、ビービー、ビヨビヨという濁音の鳴き声がやかましい。ビワの実が色づいてきて食べ頃になったのだ。オナガムクドリが頻繁に来ている。どうもオナガの方が上位のようで、オナガが居なくなるとムクドリが来る。そして、オナガが現れるとムクドリが去っていく様子が見られる。
 鳴き声がやかましいので窓から覗くと、夢中になって実をついばんでいる。くちばしを実の中に差し込み、果肉を食べているようだ。果肉が半分ほどになるとビワの種が落下し実も落ちてしまうので木の下は残滓が重なっていく。
 窓からの覗いているうちはよいのだが、写真を撮ろうと網戸を開け、カメラを向けるとけたたましい鳴き声を発して一斉に飛び立ってしまう。食べることに夢中になっているように見えて警戒を怠っていない。気づかれないようにそっと撮影をしようとするのだが、いつも気づかれてしまう。鳥とのかくれんぼをしながら撮影をした。
 オナガは単独や数匹で来ることが多いが、ムクドリは集団である。どうも役割分担があるようで、食べることに夢中になっている個体と、周囲を警戒している個体がある。しかし、オナガに比べると警戒心は薄いようで、ビワの実を味わっている様子を撮影するのは容易である。
 散歩の途中、足下の植え込みから顔を出し餌をついばむ様子を見せることも多いムクドリである。餌を得ることにどん欲で、集団で行動し、ハイエナのようなイメージを持っていたのだが、ビワをついばんでいる姿にはかわいらしさも感じる。それに対して、オナガは鳴き声はともかく、長い尾をなびかせて優雅に空を舞う姿に好感を持っていたが、ビワの実をついばみながらの警戒心の強さ、警報を発するときの緊張感など野生の姿を見ることができた。

 庭の片隅に餌場を設けている。残りご飯を一日乾かして撒いている。朝、鳴き声が聞こえ、雨戸を開けると目の前をスズメが飛んでいく。あえて姿を見せて餌を催促しているような様子である。キジバトが車庫の屋根や玄関先に待っていることもある。常連になっているスズメやキジバトは人の姿を見ても遠くまでは逃げず、近くで様子を見ながら餌場の残りご飯を食べてしまう。天候に関係なく、雨の日も昼頃には残りご飯はきれいになくなっている。ある日、半乾きのご飯の固まりを置いたのだが、なかなかなくならなかった。細かくせずに固まりのまま出したときも食べに来なかった。鳥たちにも好みがあるのだろう。

 ビワの実が熟しておいしい時期、しばらくは鳥たちとのかくれんぼが続きそうである。

 さらに強者が現れた。カラスである。木からビワの実をもぎ取り、咥えて近くの屋根に移って食べている。カラスの姿があるとほかの鳥たちは寄り付けない。

ハイバンドが開けてきた 2

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24MHz,28MHz MLA

 

 コンパクトなMLAでもコンディションが開けてくれば電波は飛んでくれることがわかったので、さらに挑戦してみることにした。これまでよりも高い周波数である24MHzバンドや28MHzバンドに挑戦した。
 アンテナの長さは波長に規定される。波長は電波の速さ÷周波数で求められる。単位を調整すると300÷周波数(MHZ)が波長となる。24MHzでは300÷24=12.5となり波長は凡そ12mである。そのため、基本的なダブレットというアンテナの場合には24MHzバンドの場合1/2波長であるの6m、28MHzバンドでは5mの長さが必要である。
 この波長の電波を今回挑戦するMLA(マグネチック・ループ・アンテナ or マイクロ・ループ・アンテナ)ではループとキャパシタによる共振回路によってとても小さなアンテナとして動作させている。
 今回実験したのは150cmのワイヤーと最大容量56pFのキャパシタである。このワイヤーでループを作ると50cm弱の輪にするのだが、真ん中に支えを入れたひし形での実験である。こんな小さなアンテナから12mや10mの波長の電波が飛び出してくれるのだろうかと不安になるのだが、アンテナの進行波と反射波の関係を示す数値である定在波比SWRを測定してみると、ほぼ供給された電力が全て電波として放射されていることを示す1に近づけることができた。
 アンテナは電波を送り出すだけではなく、受け取る役目もある。しっかり受け取ることができれば受信性能が良いことになる。このMLAを使って受信してみると他のアンテナに比べて多少信号が弱いのだが受信できていた。アンテナとして動作はしているが、性能は今一つなのは致し方ない。
 
 ところで、携帯電話やテレビジョン、また衛星放送では高い周波数の、波長がとても短い超短波や極超短波が使われている。これらは直進性が強いので見通し内での通信が基本である。それに対して短波での通信では電離層などの影響を大きく受けるので、機器の性能というよりも自然要因による伝播の状態に負うところが大きい。そこで、このようなコンパクトなアンテナでも条件が良ければ通信ができるだろうという試みなのだ。
 結果は、部屋の中につるしたこのMLAに数wのトランシーバーを繋ぎ、札幌や兵庫、熊本の局と交信することができた。携帯電話のようにいつでも繋がるわけではないが、条件が整えば思いもよらないところと繋がる面白さがある。ものづくりの楽しさと自然を相手にした幸運を楽しむアマチュア無線である。 

カワウ オンステージ

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カワウ オンステージ

 石神井川小平市のゴルフ場内にある湧水を源流として、西東京市を経て練馬区に入り、さらに板橋区、北区を経て隅田川に合流する一級河川である。
 源流部は暗渠化されているが、小金井公園でその姿を見せ、西東京市付近では細い流れである。練馬区に入ると三宝寺池や富士見池その他の湧水が合流し流れが大きくなる。

 私が子どものころは川の周りは水田が広がり、田に水を引くための小川が幾筋も流れていた。土手から川に向かって洗い場という石組みの場所があり、大根などを洗っていた。その後、都市化が進み、周辺に住宅ば増えると川に汚水が流れ込み、悲惨な状況になってしまった。自然の流れがどぶ川になってしまった。公害などとともに社会問題となり、改修が進められた。下水道が整備され、護岸工事が行われてきた。
 すぐ手の届くところを流れていた川は、高いブロックの護岸によって深いところを流れるようになってしまったが、澄んだ流れの中に水草がそよぎ、カモなどの水鳥が集まるところになっている。
 この川べりが私の散歩道である。川に沿ってサクラが植えられているので、その季節には枝が川を覆い、見事な風景になる。散った花びらが川面を流れる花筏の風情は格別である。シジュウカラジョウビタキムクドリ、ウグイスなどいろいろな鳥たちが姿を見せる。ハクセキレイや時にはキセキレイを見かけることがある。川に沿って飛ぶカワセミの輝くような青色の背中も見られる。カルガモはほぼ通年見られるが、オナガガモコガモマガモカイツブリハシビロガモなど渡りの途中で立ち寄るものもいる。アオサギコサギチュウサギが流れの中の餌を探している姿はよく見かける。
 先日の散歩の途中、中洲の石の上で羽を広げているカワウを見かけた。水深のある所を潜りながら狩りをしている姿はよく見かけるのだが、こうして羽根を乾かしている姿は珍しい。護岸の上からだが、近づいて写真を撮っても羽を広げたままである。ステージの上で衣装を披露しているファッションモデルのような動きである。野鳥の公園などで見かけた、杭の上に留まり羽を広げる習性があるのは知っていたが、こんな小さな川の中州で、しっかり石を見つけてその上で羽を広げている。なんともほほえましい姿である。

 都市の中の河川はゲリラ豪雨など、最近の激しい気象に対処し水害を防ぐという大事な役目を持っている。道路の下に巨大な導水路が作られ、また遊水地を整備するなど対策がとられている。しかし、平時においてはこうした動植物の暮らす場として、私たちに安らぎを与えてくれる場でもある。散歩の途中、枝先から水中に飛び込んで小魚を捕えるカワセミや、潜ってから思いがけないところに顔を出すカイツブリの様子をのんびり見ているのは楽しい。身近な自然を大事にしていきたいものである。 

ハイバンドが開けてきた

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壁に引っ掛けた70cmMLA

 このところ、ハイバンドが開けるようになってきた。先日、18MHzで交信した後、何気なしに21MHzに移ってみるとたくさんの局が聞こえた。そこで、CQを出している局をコールすると、すぐ返答があり、QSOできた。しかし、アンテナはランダム長のワイヤーで、チューナーを使って18MHzに調整したままである。21MHzにはオフチューンの状態であった。測ってみるとSWRは2以上だったがしっかりと飛んでくれた。それだけ伝播コンディションがよかったのだ。
 こんなに伝播コンディションがよい状態なら、あまり効率のよくないアンテナでも飛んでくれるかも知らないと、自作MLAを使ってみることにした。
 2m程度のワイヤーを配線カバーで作った輪に沿わせた70cmφ程度のMLAである。トロイダルコアを介して給電し、キャパシターにはトリマーを使っている。これを部屋の壁に引っかけた状態のMLAである。キャパシターを調整し、同調点を探し出して21MHzでほぼSWR1に近づけてある。
 FT181NDに接続し、ワッチをしてみるとたくさんの局が聞こえる。呼びかけると応答があった。相手は599で届いているが、もらったリポートは579であった。弱いながらも電波は出ていることがわかった。その後も何局か呼びかけて交信することができた。室内アンテナ、それもコンパクトなMLAでも電波が飛んでくれたのだ。

 この構成で数日運用しているが、お空が開けてくれば交信することができている。FT181NDは内蔵電池運用で2.5W出力の設定である。QRPで、効率のあまりよくない小さなアンテナでもアマチュア無線が楽しめる。まさに、電離層という自然条件の恩恵を受けた楽しみである。

 

 電波コンディションは上向きであるという。外出自粛を続けて行かなくてはならない昨今、部屋にいながらにして宇宙や地球の営みを感じるハムライフをエンジョイしていきたい。

K3NGキーヤーを使ってみて

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K3NG keyer by XRQTechLab


 このところ、ハイバンドが開けることが多くなり、いろいろなバンドで楽しんでいる。私の設備は大変シンプルなので、電離層などの自然の条件に依存するところが大きい。コンディションがよければ数ワットの出力とワイヤーアンテナからでも国内全域から近隣の国々まで伝搬してくれる。時には地球の裏側まで届く。自然相手の楽しみである。

 K3NGキーヤーを使っているのだが、その個性がだんだんと見えてきた。このK3NGキーヤーはとても多くの機能を持っているのだが、私の作ったものはそのごく一部の機能だけで動作させている。そのため、一番容量の小さなATmega386Pを使ったAruduinoUNOと同様な構成である。K1EL Winkey1,2エミュレーション機能やctestwinとかでusbif4cwような使い方が出来る機能もあるようだが、私はメモリー機能だけしか使っていない。
 LCDを使うと多くの表示ができるようになり便利だと思ったのだが、実際に使ってみるとあまり有用だとは思えなかった。LCDに表示されるのはコマンドモードに入ったとき、どのコマンドかが表示され、設定変更した場合はその設定が表示される。また、デコーダー機能があるため、パドルから入力した符号が表示される。メモリーからの送信の場合にもその出力符号が表示される。しかし、通常の使用に於いてこれらの表示がなくても不便はない。コマンドなどの状況はサイドトーンで知ることができるからである。
 LCDをつけることにより消費電流が増えるデメリットがある。DL4YHF  WolfgangさんのPICキーヤーでは消費電流が大変に少なく、自動的にスリープモードにはいることもあり、ボタン電池でも数ヶ月以上使うことができる。そのため電源SWを省略している。しかし、K3NGキーヤーはArduinoで動作させているので結構消費電流は大きい。LCDを使えばさらに大きくなる。そのため単三乾電池を使っても電源SWが必要である。
 VRを動かすことによって可変できるスピード範囲を設定できるのは便利である。DL4YHFキーヤーではVRの前後に抵抗を付加することで可変スピードの領域を設定するのだが、K3NGキーヤーではスケッチを変更するだけで設定できる。
 TX出力を選択できる機能は便利である。私はその一つにリレー出力を組み込みこんでいる。複数のTXで使う場合にも、切り替えが容易である。
 K3NGキーヤーの最大の利点は機能のほとんどをプログラムで行っており、ほんのわずかな部品で構成することができることだろう。もの作りが楽しめる。
 これまで何台か製作し使ってきたが、動作が思い通りでないことがあった。そのようなとき、ハンダ付け不良や接続誤りが一番疑わしいのだが、このキーヤーには様々な機能が組み込まれているので、設定が正しいかを見直し、スケッチを書き換えてみるのも解決への道であった。


 このような高機能のキーヤーを使わせてもらえることに感謝し、これからも電信ライフを楽しんでいきたい。

K3NG KeyerにLCDを付ける

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LCDを付加したK3NGキーヤー

 多くの方がK3NGキーヤーに液晶表示を付加した事例を公開されている。簡単にできるだろうと始めたのだが、嵌ってしまった。

 K3NGキーヤーに搭載するLCDはたくさんの線で信号を送る方式ではなく、I2Cという2本線で信号を送る方式だ。そのため、Arduino IDEにもLiquidoCrystal_I2Cというライブラリが必要なのでダウンロードさせてもらい、導入した。そして、スケッチの設定をしてコンパイルをしようとすると、
  LiquidCrystal_I2C lcd(0x27, 2, 1, 0, 4, 5, 6, 7, 3, POSITIVE); という行でエラー
  error: 'POSITIVE' was not declared in this scope と表示さた。

 コンパイルされなければ、スケッチの書き込みもできない。そこからが試行錯誤の始まりである。
 LCDには内蔵されているコントローラーによっていくつかの種類があるようだ。そこで、ライブラリと適合したLCDなのか確かめた。
 まず、LCDを接続したArduino unoにI2C ADDRESS SCANNERというスケッチを書き込み走らせる。シリアルモニターで見るとLCDのアドレスが表示された。
 次に、Hello Worldのスケッチに、LCDのアドレスに変更して書き込み、走らせた。正常に”Hello World”が表示されている。このライブラリとLCDで動作することは確かめられた。
 K3NGの設定でも同じライブラリが使われている。いろいろ調べていくうちに、LiqudCrystal_I2Cというライブラリにはいくつかの種類があることがわかった。GitHubのライブラリは1.1.1と1.1.2のバージョンがある。私の導入しているのは1.1.2だった。その他I2CLiquidCrystalというものやNewLiqidClrystalというものも見つかった。それらをIDEのライブラリに導入してみたがコンパイルを通すことができなかった。
 既にLCDを導入されている方のサイトを詳しく見ると、NewLiquidCrystalを使っているとの記載があった。なぜ私のIDEではうまくコンパイルできないのか悩んだ。ある時、それぞれのライブラリの中をのぞいていると、どのライブラリにも ”LiquidCrystal_I2C.h”  というファイルが入っていることに気づいた。同じファイル名のものがあるとプログラムの流れでは支障があるはずである。そこで、複数入っていたI2C関連のライブラリをすべて削除し、一つだけにしてみた。NewLiquidCrystalというライブラリである。この状態でコンパイルを試してみるとすんなり通った。
 コンパイルできたK3NG keyerのスケッチを書き込むとLCDに「K3NG Keyer hi」という表示が出た。長いトンネルから出ることができた
 わかってしまえば何ということもないことだが、壁にぶつかっているときには様々な試行錯誤で悩んだ。課題を解決する面白さ、これだからものづくりは止められない。
 LCDを付加したキーヤーはコマンドの状態や送出したモールス符号などいろいろ表示してくれる。このキーヤーの機能がもう一つ使えるようになった。

K3NG キーヤー

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Arduino K3NG Keyer

 K3NGキーヤーはArduinoによって動作するオープンソースのものである。スケッチや必要なライブラリも公開されているだけでなく、k3ng_cw_keyer wiki! というサイトでは必要な情報が豊富に入手できる。
 以前はPICによるキーヤーを製作していたが、このArduinoベースのものは、特別な開発環境や書き込み装置がなくても製作することができる。Arduino IDEは無償でダウンロードさせてもらえ、C言語のようなわかりやすい記述でスケッチと呼ばれるプログラムも理解しやすい。このIDEには書き込みの機能も含まれていて、パソコンとUSBで接続することでプログラムを書き込むことができる。
 ArduinoにはUNOやNANOなど様々な種類があるが、基本的な機能に絞ってしまえばその基板を使わなくてもAVRのATmega328Pというチップに多少部品を付加するだけで動作させることができる。ただし、市販されている生のATmega328Pをそのまま使うことはできず、ブートローダーというプログラムを事前に書き込む必要がある。
 K3NGキーヤーはLCDをつけたり、外部の機器と接続して動作させることができたり、大変に多機能である。それらは通常の使用ではあまり使うこともないので、メモリー機能のみを使う普段使いのキーヤーとしてまとめてみた。

 5つの押しボタンを持っている。1つはコマンドボタンで、これを押すことでコマンドモードに入りメモリーやスピードコントロール、長短点比の変更、サイドトーンのon/off、オートスペース、IambicA IambicBの切り替え、パドルの左右交換など多くの機能を設定することができる。
 メモリーは残りの4つのボタンに割り付け、それぞれを押すことで事前に入力したメッセージを送出する。キーイング回路を複数付加すればこのボタンの操作によって個々の送信機に切り替えて運用することもできる。
 電源は5Vが標準だが、多少の幅はあるようだ。私は単4乾電池3本で動作させている。

 多くの方がこのキーヤーを製作されており、ショップからもこのキーヤーが頒布されている。ネットではたくさんの情報を手に入れることができ、工作箇所が大変少なく、容易に作ることができるキーヤーとしてお勧めである。

 実はPICのキーヤーを直そうとして作業を始めたのだが、書き込み装置が行方不明になっており、手元にあった部品を使ってこれを作ったのだ。家に閉じこめられていることが多くなったこの時期、スケッチを読み解いてプログラミングの技術を学ぶのもよいかもしれない。