XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

手すさび

f:id:shig55:20200717114832j:plain

パラコードを使ってのロープワーク

 手遊びと言っても、賭博のことではない。文字通りの手での遊びであり、時間つぶし、手慰みである。パラコードという4mmφほどの太さのコードを1本持っていると結構時間がつぶせる。さまざまな結び方があり、なかなか奥が深いからである。
 その太さや材質、用途などによって紐・コード・ロープ等々いろいろな名称があるが、結び方はロープワークと言われている。ロープは手の延長のように、ものを押さえたり、結びつけたり、固定したり、繋げたり、いろいろな役割を担うことができる。ロープは道具であり、それをどのように使うかは使う人に任されている。逆に言えば使い方がわからなければ役に立たないものである。そのため、それを必要とされる場ではさまざまな使い方が工夫され伝承されてきた。そのどれもが美しい造形である。使われ方に応じて太いものもあり細いものもある。登山や救助などの場面では命を預ける太く丈夫なものが使われ、キャンプなどでは生活を便利にする時には細引きと言われるものが使われる。
 その結び方を楽しむのだ。先人たちから伝えられた結び方を思い出しながら試してみる。手順が一つ違っただけでも異なる結び方になってしまうので、思い通りに結ぶのは難しい。結びにならないこともある、似ているが何か違うこともある。試行錯誤をしながら結び目を作っていくうちに時間が経ってしまう。

 最近覚えたのは「叶結び」である。一方から見ると「口」の形で、後ろ側から見ると「十」の形になっている。「口」と「十」で「叶」という字になることから名づけられたという。できてしまえば簡単な結びなのだが、ほんの少し手順が違うと「叶」の形にならない。繰り返し繰り返し結んでいき、思い通りの形にたどり着くように練習する。試行錯誤をしながら結びの全体像を探っていく。
 「粉屋結び」というのも見つけた。粉を入れた袋の口を紐で綴じる結び方である。片方の手で袋の口を押えながらもう一方の手で紐を巻き付けて口を綴じる。手を放してしまえば袋の口が開いてしまうので、口を押えながらいかに紐を巻き付け固定するかがポイントである。粉屋さんは無意識のうちにやっていた動作であろうが、確実にできるようになるまで繰り返し練習するのも手すさびである。

 本結び、男結び、もやい結び、8の字結び、ふた結び、巻き結び、ひばり結び、引き解け結び、蝶結び、よろい結び・・・ それぞれの結び方のバリエーションも豊富である。思いつくままにコードを弄っていると時間を忘れてしまう。頭と指先を使う老化防止の手すさびである。