暮れも押し迫ってきた。街を歩いていて気づくのは街にイルミネーションが戻ってきたことだ。去年は大震災の心の痛手から立ち直れず、余裕がなかったのだろう。しかし、だんだんに気持ちが前に向かってきているようだ。イルミネーションの明かりは被害にあった人たちへの鎮魂の灯火でもある。凍てつく夜に、静かに輝いている。
このところ流星群風邪ということをよく聞く。これは流れ星が未知なる風邪を運んできたと言うことではない。先日の双子座流星群の極大に合わせて、たくさんの人たちが夜中に屋外に出ていたようである。新月で空の状況はよく、雲も少なかったのでたくさんの流れ星が見えると期待して観測したようだ。雲がないということはそれだけ放射冷却も大きかったということで、寒さが厳しかった。いつ、どこから現れるかわからない流れ星である。足踏みをしながら空を眺めていたのだろう。耐えきれず暖かい家の中に避難して、また外に出ると言うことの繰り返しだったのかも知れない。たくさんの流星が見られたのならその満足感から気持ちも上向くのだが、今回はあまりたくさんの流れ星は見られなかったようである。数個の流れ星を見たという話は聞こえてくるが、落胆の声が多い。そんなことから体調を崩してしまう人が多いようである。流星群の観察から引き起こされた風邪である。
この季節は日暮れも早く、早い時間に星空が現れてくる。寒さから湿度も下がっているので空気の透明度も増しているので、星が明るく見えている。
今、地球を巡っているISS(International Space Station)がとてもはっきり見える。太陽の光を受けて輝いて見えるので、地球の影から出て日本列島の上空を通るときの早朝や夕方が見頃である。JAXA(宇宙航空研究開発機構)のサイトにはISSの見え方についてのインフォメーションが公開されている。その情報によって空を眺めているとISSが時間通りに現れ、明るい光の点が音もなく(当たり前であるが)スーっと頭の上を横切っていく。実際のISSはテニスコートほどの大きさがあり、地表から400km程の距離があるとはいえ、結構大きな光と点として見える。そこで、双眼鏡で覗いて見たのだが、形まで見るのは無理だった。
よく飛行機の光と見まちがうようだが、飛行機の光は点滅していたり複数であったりすることが多い。また、ほとんどの場合、エンジン音が聞こえてくるのでISSと区別できる。
JAXAのインフォメーションで、ISSが出現する方位と仰角を調べ、そのあたりを眺めているとまず間違いなく見つけることができる。それほど明るく目立つのである。ただし、星や月と違って地平線から上ってくるのではなく、空の途中から突然現れることがあるので注意が必要である。地表から約400kmという宇宙からすれば地球の周りすれすれのところを飛行しているので、地球の影から出たときに輝きだして見え、影に入ると消えてしまうのである。そのため、インフォメーションの仰角を参考にして、地平線が0度、天頂が90度になるのでどのあたりから出てくるか見当をつけておくといい。
冬は天体観測に適した時期でもある。寒さで風邪など体調を崩さないよう留意して自然の美しさを楽しみたい。