XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

地球のかけら

ホタル石

台風6号が北上を続けている。太平洋高気圧とオホーツク海高気圧に挟まれ、日本列島に沿って進んできそうだ。それも高気圧の影響で速度がゆっくりだと言う。南西諸島や九州では猛烈なしけになっている。明日、明後日には近畿東海から関東にかけて影響が出てきそうだ。進行速度が遅い分、滞留時間が長くなり暴風雨による影響が心配される。震災で被災された地方への影響が少ないことを祈りたい。

 3連休の最終日。散歩の途中で○○オフという古本屋さんに立ち寄った。特にあてもなく本を見て歩いていると1冊の本が目に飛び込んできた。最近よく見かけるおまけ付きの本である。鉱物を紹介している雑誌らしく、おまけはホタル石だと書かれている。手に取ってみるとケースに入った標本が付いている。薄い雑誌なのだがその標本を付けるために段ボールのケースに入れられ厚いハードカバーのような体裁である。値段を見てみると105円。即、購入した。
 ホタル石は以前、鉱物博物館のミュージアムショップで購入したことがあるのだが、小さな標本であった。これほど大きなものが手にはいるとは幸運が舞い込んできた気分である。
 地殻を構成しているさまざまな鉱物の中には、美しいものがある。水晶のように一般的なものにもアメジストやスモーククォーツのように色の付いたもの、翡翠のようにそのままでは普通の石のようだが磨くことで光沢を持つもの、黒曜石のようにガラス質できれいなだけでなく、石器として使われてきたものなど興味は尽きない。宝石としては扱われなくても長い年月、地球の熱や圧力、水や大気の循環、堆積など。地球の営みの中で作られてきた鉱物はロマンを感じさせてくれるものである。
 紡錘虫石灰岩という鉱物が採れる栃木県葛生町を訪ねたことがある。そこの化石館のベンチは一面にフズリナが見える石灰岩でできていた。鉱石の中に生き物の姿が閉じこめられている。タイムカプセルのようなものである。鉱物と言えるのか定かではないが、樹液の中に虫や小動物が閉じこめられ石化した琥珀も魅力的である。
 一人一人の生は地球の時間からすればとても短時間であるが、鉱物を見ていると人の時間を超越した世界へ思いを馳せることができる。地殻の変動で大きな被害を被ったのだが、自然に抗うのではなく、自然を理解し地球の営みの中で生きていくのが生き物なのだと思う。大きな被害を乗り越えるために手を携え協力し合えるのが人間の強さだと思う。
 きれいな鉱物に出会うことができ、地球・自然という大きな存在を考えることができたひとときでした。