XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

CPR訓練支援

CPRタイミング指示発信器

 コロナ禍で長い間実施できなかった避難拠点訓練が行われるようになった。訓練は地域の防災力を高めるために年に数回は行われていたのだが、ここ数年は人々が集まることができず中止になっていた。ワクチンの接種も進み、感染者数が減少傾向になってきたことから、対面での訓練が行われた。起震車での体験や消火器を使った初期消火訓練、煙ハウスの体験、また、救命救急のCPR(胸骨圧迫心肺蘇生法)・AEDの取り扱いの訓練などが行われた。

 CPR・AEDの訓練を手伝ったのだが、参加される方はほとんどの方がこれまでに訓練を経験しているため、この訓練はもう一度思い出してもらうという意味合いが強い。今回は隣国での群衆雪崩による痛ましい事故が起きたばかりであり、救命処置への関心が高かった。身体が圧迫されることで呼吸ができず心肺停止に陥ってしまうことの反面、心室細動の状況になったとき胸骨圧迫という外からの圧迫で蘇生を試みるということへの関心が集まったのだろう。
 避難拠点訓練と言うことで、それぞれのブースでの訓練は短時間になる。CPR・AEDのブースではレサシ(訓練用の人体模型)を使って胸骨を圧迫する堅さを体験すること、圧迫するタイミングが毎分100~120回であることの体験に重点を置いた。
 この100~120回というタイミングを以前PICで製作した機器で提示したのだが、メトロノームと同じで、近くにタイミングを示す音があるとわかりやすいようだった。音とLEDの点滅に興味を持たれた方から質問を受けた。どういう仕組みか、どこで売っているのか・・・など、そこで私のホームページを紹介して見てもらうようにした。
 この装置、製作してから既に10年近くになるのだが、まだまだ現役で使えている。そこで、更に改良できないかという興味が湧いてきた。普段の使い方を見ると毎分110回ほどのパルス状の音が出るだけでよいようである。機器をもっとシンプルなものにできないか。
 そうして試作したのが写真のものである。CR2032のケースの中にピエゾ素子を入れ、PIC12F675 はケースの外側に貼り付けたものである。スイッチを入れると「ピッ、ピッ」という音が出てくる。他の機能はすべて省いてある。ただ、省きすぎたのか、音がとても小さい。昔、調律をするときに音叉を叩いて耳元で聞いていたような感じである。音を大きくする回路は必要なようだ。
 楽しんでいる電子工作が実際の場面で役に立つというのは楽しい。次も何か役に立つものを作りたいものである。