XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

防犯ブザーの修理

shig552008-06-21

梅雨の晴れ間がしばらく続き、岩手宮城内陸地震で被災した方々の救助・救援も進んだという。しかし、雨が降り出すと地盤のゆるんだ傾斜地では土砂の流出も心配され、また、堰止め湖の水位が上がれば災害の危険もある。天候も味方してくれることを祈る。

徐々に災害の全体像がわかってきた。数キロにわたる地表の隆起が見つかり、大きく地盤が変動したことがわかる。山崩れが沢筋を流れ、とてつもない速さの土石流として発生した。そして別の山崩れの影響を受けて流れる道筋をを変え、旅館を押し流したこともわかってきた。大地の変動の規模の大きさに今更ながら驚かされる。
南の地方では梅雨明けをしたというたよりも聞かれるが、梅雨空はまだまだ続きそうである。さらに被害が続かないよう祈りたい。

街で見かける子どもたちは、ほとんどの子が防犯ブザーを身につけている。ランドセルのベルトに取り付けたり、首からストラップで下げていたり、人為的な被害から身を守るために普及しているようだ。
子どもたちの使うものなので、過酷な使用条件である。ものにぶつかり、水がかかり、振り回され、投げ飛ばされる。故障してしまうものも少なくない。
「鳴らなくなった」という防犯ブザーをいくつか修理した。その中で見えてきたものは、作りの甘さと使い手の不慣れである。そのいくつかをあげると、

  • 1,電池接点のサビ

 接点部分のさび止めメッキが不十分であったり、金属そのものが露出しているものが多い。部分的にサビが出て接触不良を起こし、音が出なかったり小さな音や断続音になることがある。修理では接点復活材一拭きで解消してしまうこともあった。しかし、一般家庭ではこのような簡単なことであっても、修理が出来ず、「買い換え」となってしまうことがある。

  • 2,部品の不良

 最近の機器はチップ部品が多くなった。その中で品質の悪い部品により、動作不良になるものがある。特にセラミックコンデンサと思われる部品が破損しているものが多かった。手元にチップ部品がなかったので普通のコンデンサに交換するだけで機能は回復した。同じ故障が同一機種で多発しているところから、リコール対象の事例である。

  • 3,ハンダ付けの不良

 手作業で組み立てが行われている製品も多く、イモハンダになっているものも見受けられた。品質管理という面で不十分なようである。製作された当初は機能していても、子どもの過酷な使用によって壊れてしまうパターンである。

  • 4,断線

 特にスイッチ付近のものが多かった。ひもを引くなどしてスイッチを入れるが、結構大きな力がかかる。細い線材を使っているので、切れてしまうようだ。また、短い配線にするため余裕がないものも多い。頻繁な加圧によって疲労を起こしてしまうようだ。

  • 5,電池の間違い

 これは故障ではない。ボタン電池では径は同じでも厚さの異なる製品が出ている。交換電池を購入するときしっかり電池の型番を確認すればよいのだが、径だけを見て購入してしまうようだ。すると、厚さが合わず、薄い電池を入れた場合(たとえばCR2032を使用する機種にCR2016を入れたときなど)接触不良を起こし不安定な動作になってしまう。単純なことだが、電池になじみのない人にとっては陥りやすいミスである。

大きく破損して修理できないものもあるが、多くの故障がちょっとした修理で復活できている。そこで、修理ボランティアを開設]した。子どもだからこそ、ものを使い捨てにするのではなくそのものの性質を理解し、無理な使用をしない、大事に使うことを教えたい。そして壊れたら出来るだけ修理して使うことを大事にさせたいと思う。
さて、どのくらいオファーがあるか楽しみである。