XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

壊れる技術?!

shig552007-06-10

前線が南の海上に停滞している。まだ日本列島にまで北上して来るほどには大陸の寒気団は勢力を衰えさせてはいないようだ。梅雨入りももうすぐだと感じる天候である。湿度は高いもののほどよい気温で、風が爽やかだ。久しぶりに仕事が入っていない休日、モーニングコーヒーを楽しんでいる。

先日、防犯ブザーのボタン電池破裂の報道を受けて、自治体が回収を始めたという製造物責任の問題を取り上げた。昨日の新聞で、その後のことが書かれていた。内容は「電池の保存方法に問題があった」というもので製造物責任と言うよりも使用方法に焦点が移っているようである。
しかし、同じ紙面に、給湯器のゴム部品不具合による修理告示が大きく出されていた。80年代から90年代に製造された器具のゴム部品が劣化によりガス漏れを発生するおそれがあるということである。給湯器でのガス漏れでは引火、爆発という危険が考えられ早急な対応が必要である。我が家でも給湯器を使っているので、早速確認をした。同じ形式の器具であったが製造年度が新しいので、今回のリコールの対象外であることが判明しひと安心したところである。

部品が経年変化により劣化するのは当然のことである。設計段階では「ターンセーフティー」の考え方で最悪の場合にも安全な方向に推移するように考えられているはずである。しかし、実際には時間経過というフィルタを通してみないと気づかないこともある。経験・歴史という積み重ねの中で技術が進歩してきた。

でも事故が起こっては困る。事前に事故発生を抑えることを考えなくてはならない。これまでの技術は「有用なものを作る。便利なものを開発する」という方向で進んできたが、「壊れる技術」が必要になってきたようだ。つまり、部品の経年変化を考慮に入れて、その製品の寿命を予め定めておく。そして寿命が来たらその製品が使えなくなるように壊れる仕組みを組み込んでおく必要である。
長年乗ってきた車のヘッドランプが切れたことがあった。片方が故障すると直にもう一方も故障した。白熱球ではフィラメントの製造で品質の均一化を進めることで寿命もほぼ同じになっているのだそうだ。

最近の製品はほとんどがマイコンを組み込んでいる。プログラム的に寿命警告を表示したり、一定時間経過後に使用不能にすることは可能である。製造物責任という面から考えると、このような対応が行われそうである。
しかし、モノと人との関わりから考えると、何かおかしい。中身がわからず、他人任せな使い方でいいのだろうか。モノは壊れるもの、メンテナンスをしながら安全に使うのがモノなのではないだろうか。計画的にモノが壊れ、計画的に更新されていく社会になってしまっていいのか。一人一人の創意工夫がなくなり、誰かによって管理されているような社会ではないか。安全・便利さを追求するのだが、自己責任、個人の創意工夫という面がもっと見直される必要があると思う。

雷が鳴り始めた。春雷だ。上空では暖気団と寒気団の勢力争いが続いている。