XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

アルコール ストーブ その2

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内側、外側噴射の燃焼の仕方

 

 アルコールは発酵や触媒を用いての分解で植物、石炭、天然ガスなどさまざまな原料から作ることができる。バイオマス資源であるので環境にやさしいとも言われている。また、ガソリンなどと比べて爆発的な燃焼をすることも少なく、扱いが比較的容易な燃料である。 ストーブとしては皿の上にアルコールを注ぎ、そのまま火をつけても燃焼する。また、グラスウールなどを敷き詰めた容器にアルコールを注ぎ、点火すれば長時間の燃焼が得られる。理科の実験で使ったアルコールランプのように燃焼芯を用いた方法もある。
 一方、より効率的な燃焼を求めて工夫したものもある。アルコールを燃焼熱で気化し噴出させて燃焼させるものである。これには大きく分けて加圧式と非加圧式がある。
 加圧式では密閉した容器の中にアルコールを入れ、その容器全体、または一部を熱する構造として内部のアルコールを気化させ、その容器の一部に開けた噴出孔から噴出し燃焼させるものである。銅管の中にグラスウールなどのアルコールを吸引するものを詰め、噴出孔の上に取り付け、密閉容器と一体化した製品が出ている。プレヒートでアルコールを気化させ、噴出孔からの蒸気に点火すれば、継続的に燃焼を続けることができる。
 また、非加圧式では副室を作り、点火当初は通常の燃焼をしているが、副室が温められることで副室中のアルコールが気化し、噴出孔から噴き出すようになり本燃焼が始まる。開口部だけでなく、多くの噴出孔からの蒸気を燃焼させることで大きな火力を得ることができる。
 
 素人の工作において密閉構造を作るのは容易ではない。耐熱の接着剤もあるとは聞くが、なかなか入手は難しい。そこで、私は簡便に工作が楽しめる非加圧式のストーブを作っている。要は気化したアルコールが噴出孔から吹き出すような構造の副室を作ることである。材料はビールなどのアルミ缶で、これは構造上の強度をを持たせるため蓋の部分と底の部分には出っ張りが作られている。この部分を利用することで副室を構成するのだ。そして噴出孔を上側に、アルコールが副室に入るための隙間を下側に作る。
 噴出孔の数や大きさは工夫のしどころだ。燃焼の仕方を観察しながら調整する。穴を開ける位置も工夫のしどころである。外側でも内側でも可能だ。写真は、同じ構造だが噴出孔を外側に開けたものと副室の内側に開けたものを並べたものである。外側に開けた穴からは炎が広がっているのがわかる。内側に開けたものでは缶の開口部から炎が上がっている。
 非加圧式の場合、吹き出す勢いが弱いので風などの影響を受けやすいと言われている。風防などを利用するのだが、使用条件に応じたストーブの選択が必要だろう。また、燃料の量によって燃焼時間が決まってくるので、個々のストーブで燃料の量と燃焼時間のデータを取っておくと、調理に応じた燃焼時間が調整できる。

 手軽に工作が楽しめる{アルスト」である。燃焼実験を繰り返しながら改良を楽しんでいる。                                                         作り方 How to memo(pdf)