XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

使い勝手の改良

改良したMLA

 この写真からは、何なのかわからないと思う。RCAジャックとSW-40に組み込まれたポリバリコン、そして配線カバー2本が写っている。実は配線カバーの中に、エレメントのワイヤーが収納されている。
 これまでいろいろとMLA(Magnetic Loop Antenna)を作ってきた。実際に使ってみて少しずつ改良してきたところだ。QRPで使用するならば、キャパシターに高耐圧のものを使用しなくても、トリマーや通常のコンデンサーでもどうにか使用できることがわかった。形状が安定していれば、周囲の影響を比較的受けにくく、毎回、調整をしなくてもおおむね使うことができるようだが、キャパシターの整合は大変にクリチカルで、ちょっとした変化で同調点が動いてしまい、その幅は極端に狭いことがこのアンテナの特徴である。
 そこで、ワイヤーを配線カバーに沿わして形状の安定を図り、キャパシターにはトリマーと固定コンデンサーを抱き合わせで、同調を取るようにした。そして複数のバンドで使用できるよう、キャパシターをスイッチで切り替える構成のものを作ってきた。
 調整については、アンテナアナライザーを使い、SWRとインピーダンスのグラフを参考にしながら、同調点を求めてきた。
 直径1mほどの小さなアンテナでも、効率はそれほど良くはないが、そこそこ電波が飛んでくれ、実際の使用ができることを実験してきた。

 その実験の過程で、いくつか改善点が浮かび上がってきた。
 ? トリマーの使用の件だが、小型軽量で基板に組み込んで使えるのだが、調整には、専用の道具”調整棒”を使わなくてはならず、細かな調整に手間取ることが多くあった。予め調整をして移動先にもっていくのだが、やはり不安になり、整合が取れているかいじることが多かった。一度動かしてしまうと、なかなか整合点が見つからず難儀した。
 これをポリバリコンに変更した。スイッチによりバンドを切り替えるのではなく、ポリバリコンで調整する方式だ。実際に使用してみると、ポリバリコンを動かすことで、容易に受信音のピークが見つかる。その位置がアンテナの整合が取れている点だった。アンテナアナライザーで確認してみると、ポリバリコンに触れる手の影響が多少出ているが、おおむね、受信状態でノイズが最大になるよう調整すれば、アンテナの整合が取れることがわかった。
 ポリバリコンにダイヤルを付け、調整位置がわかるようにしておくと、バンド毎に調整するのに便利だった。トリマーに比べてポリバリコンの方が操作性が格段に良くなる。
 ? 配線カバーは携帯性を考慮し、できるだけ短くするようにしてきた。しかし、1本を短くすると、継ぎ足さなければならない数が増えてしまう。組み立てにも手間取ることになる。そこで、市販されている1mの配線カバーをそのまま使うことにした。エレメントを3mとし、ポリバリコンはAM用の260pFのものを使用する。FT37-43のトロイドにエレメント線を貫通させ、リンク線を7回巻いてTRCVからの入力とした。この部分のコネクターにはRCAジャックを使った。BNCへの変換コネクターを使えば、通常の同軸ケーブルも使える。
 使用時は、配線カバーの蓋と身2本ずつを組み合わせて、輪を作り、エレメントを沿わせる。真ん中にポールを添えてやれば、形状も安定する。
 そして、収納時にはエレメントを配線カバーの中に入れてしまえば、すっきりと収まる。

 携帯時には全長1mの棒状のものになるが、車のトランクに入れても嵩張らない。このMLAで40mと30m、20mで充分整合が取れることを確かめた。また、エレメント長を2m弱とした、直径60cmのものでは40,30,20,17,15mで使えそうだ。実験をしながら、少しずつ改良していくのは楽しいものである。