XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

カシワバアジサイ

カシワバアジサイ 4態

カシワバアジサイ
 古来より日本にある花木のようだが、最近多く見かけるようになった。我が家にも数年前に鉢植えでやってきて、今では地植になり大きく成長している。
 名前のように柏の葉に似た形の切れ込みがある葉で、5月頃になると真っ白な花をボリュームたっぷりに咲かせて、目を楽しませてくれる。よく見かける色鮮やかな西洋アジサイや清楚なガクアジサイとはひと味違った美しさである。
 一重と八重のものがあるようだが、我が家のは幾層にも白い花弁のようなものが重なった八重咲きである。アジサイは花弁のように見える部分は装飾花で、おしべやめしべが退化しガクや花弁が変化したものだそうだ。
 この花はひと月以上も長く楽しむことができる。そして少しずつ変化していくのがおもしろい。咲き始めた頃は輝くような白さで瑞々しい緑の部分が真ん中にあり、とても清楚である。
 しばらくすると徐々に白さが失われ、緑が増してくる。そして、淡い茶色を帯びた部分が装飾花の周囲に見え始める。透き通るように柔らかかった花びらが少し厚みを帯びてきたようにも見える。
 さらに時が経過すると、花穂全体がたくましさを増してくるように、白い色が失われ緑や薄い茶色が広がって、可憐な姿ではなくなってくる。しかし、色のグラデーションが絶妙で見とれてしまう。
 終盤、水を吸い上げることもなくなった花穂はドライフラワーになっていく。色はすっかりミルクチョコレートになってしまうが、装飾花の形は保ったままである。造形として楽しませてくれる。ドライフラワーになってしまうと時が止まり、いつまでも楽しむことができるのだが、こうなるまでさまざまな表情を見せてくれるのが、このカシワバアジサイである。
 最初は白い清楚な、それでいて豪華な白い花の塊に魅せられていたのだが、その変化に気づくと、それぞれの場面で、そのときどきの美しさを見せてくれることに感動した。

 自然界には、まだまだ見えていない、気づかないことが多くありそうである。