XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

ワイヤーMLA

30mBand WireMLA

 サクラの季節が過ぎ、すっかり青葉の時季になった。なかなか開けることのなかったお空の状態も少しずつ変化が出てきたようだ。ゴールデン・ウィークにはバンド中に賑やかさが戻ってきた。
 簡単な構造で、かつコンパクトなアンテナ、MLAを試す機会が巡ってきた。調整はクリチカルだがそこそこのレベルまでSWRやインピーダンスを追い込むことができることは確認できている。実戦でどの程度使えるかを試すのである。
 私のMLAは、市販されているものや多くの方が作られているものと比べたら、貧弱なものである。なにしろ、ワイヤーを配線カバーの枠に沿わせてリング状にして、キャパシターにはトリマーを使ったQRP仕様なのだ。放射効率は空間に占める面積から考えても決して良いはずはなく、QRPの小電力での運用なので、交信に使えるということが確認できればよいと考えた。
 3mのワイヤーをリング状にした7MHz用MLAを持って、公園での運用を行った。リグはMTRリチウム電池2本(9V)での運用である。CQを出すが、なかなか応答はない。弱い電波なので気づいてくれる局がないのだろう。そこで、こちらから呼ぶことにする。長野の局が出ていたので呼びかけると応答があった。相手の局は599で届いているが、こちらのレポートは499である。了解度が4というのは気になるが、ともかく長野まで2w出力の電波が飛んでくれたようだ。その後、CQを出していると栃木の局が応答してくれた。579のレポートをもらう。さらに長野の局が呼んでくれて、559のレポートをいただく。遠い局ではないが、こんな小さなアンテナで交信することができた。
 10MHzでの実験である。2mのワイヤーを輪にして、部屋の壁に吊るしたMLAを使った。EFHWアンテナを繋いだリグでワッチしたとき、バンドが結構賑やかだったので、これならMLAでも使えるのではと、1w出力のリグ(1Watter KitsandParts.comのキットを組み立てたもの)でワッチをした。すると8J4VLP/4 のCQが聞こえてきた。呼んでみるが、なかなか応答がない。強力な他の局が次々と交信をしていく。めげずに呼び続けるとコールバックがあった。MLAから出た1wの電波が岡山まで届いたのである。

 私の作ったこのアンテナは、決して効率の良いアンテナではないと思う。しかし、自然の力は偉大である。小電力でやっと放射されているような電波でも、電離層などの状況によっては遠くまで運んでくれる。その偶然を楽しむのもアマチュア無線の醍醐味である。 小さくまとめることができ、携帯もしやすいワイヤーMLA。山の上などロケーションが良い場所ならもっと活躍してくれそうである。どなたか、一緒にこのアンテナを山に連れて行ってくれる方はいませんか。
XRQTechLab製作記事

サクラ

サクラ並木 (国立)

 今年のサクラは靖国神社の標準木の開花は早かったのだが、その後の天候不順で、寒い日が続き長期間に亘って花を楽しむことができた。青空の下のサクラは輝くようにきれいだが、雨の日や曇りの日のサクラも、また風情がある。川沿いに植えられている桜並木の下を何度散歩したことだろう。その日毎に表情を変え、楽しませてくれた。舗道にできた水たまりに浮かぶ花びら。雨の後、水量の増えた川の流れに幾筋もの帯をつくっている花いかだ。夕暮れの斜めからの光を受けて、赤く輝く枝いっぱいの花。またある時には、青空の白く輝く月を桜色の花たちが囲むような場面も見せてくれた。
 サクラにはいろいろな種類があるようだが、ソメイヨシノが人々に好まれてこれだけ広まったのもわかる気がする。葉が出てくるよりも前に、枝という枝にいっぱいの花を付ける。それも数日のうちに一斉に開花する。そして、散り際がいさぎよい。きれいな色のままの一枚一枚の花びらが風に舞って広がっていく。樹形も大きく枝を広げている。川沿いに植えられたものは、川面に届くように枝を垂らし、川の両側から流れを包み込んでいるものもある。流れの中に緑があり、水鳥が遊んでいるならば一幅の絵のような景色である。 種類によって樹形や花の色、花の形、咲く時期がずれるのもいい。シダレザクラはたおやかな枝を垂らし、小さめで色の濃い花を楽しませてくれる。ヤマザクラは葉と花が同じ時期に生長するが、大きめの白い色の花がたくましさを感じさせる。ヤエザクラは少し遅れて開花するが、その花のボリューム感がすごい。濃いピンク色と花の塊のようになって咲く姿は華やかで豪華である。
 それにしても、この一時期、街の景色が一変するのがすばらしい。普段は目立たないサクラなのだが、こんなにもたくさんのサクラがあったのかと思うほど、あちらこちらでサクラの木を目にする。サクラの木が丸ごと花に包まれたようになるほんの数日。幸いに今年はその日数が伸びてくれたのだが、限られた期間だけの楽しみである。季節の移ろいをこれほど印象深くしてくれる最たるものだと思う。
 福寿草水仙、梅、桃、・・・・とどれも季節を知らせ楽しませてくれるのだが、サクラの季節も終わりである。今年は卒業式にも入学式にも文字通り花を添えてくれたサクラ。また次の年を楽しみにしたい。
 ところで、驚いたニュースがあった。この時期、河口付近では流れてくる花びらの回収が大変なのだという。川面を流れているうちはきれいなのだが、河口付近になると朽ちてきて沈み、川の底に堆積してしまうからだ。毎日回収船を出し、網を使って掬い取っているという。自然と人間の営み、風雅を楽しんでいるだけにはいかないようである。

MonoBand EFHW

MonoBand EFHWアンテナ

 早々に靖国神社の桜の基準木は開花したようだ。しかし、冬が戻ってきたような天候が続いているので、小学校の卒業式が終わった今もまだまだ開花にほど遠い。枝のつぼみが緑からほんのりとピンクへと変わり、大きさを増してきた状態である。気温がもう少し上がればと、開花が待たれるこの頃である。

QRPの面白さに気づいたことがある。それは小電力だからこそ、耐電圧など部品の性能へのハードルが低いことである。小電力なら耐電圧も低くなるのは当たり前のことなのだが、常識に囚われすぎて現実を見ていなかったのだ。製作をする場合、どうしても標準的な規格で物事を考えてしまう。そこで大きな部品を考えるようになっていた。
 しかし、受信ラジオで用いるポリバリコンをQRPのチューナーで使ったように、受信用などの部品を送信やアンテナ回路に使うことがQRPならできるのだ。
 MLA(Magnetic Loop Antenna)を作るとき、大きなバリコンを使わずとも、トリマーでも可能なことがわかった。そこで、ほかのアンテナ回路でもトリマーを使うことを考えた。 トリマーというのは半固定のバリコンのことで、回路の定数を決めてしまえばあとは動かす必要のないところに使われるキャパシタである。バリコンに比べてとても小さいので、コンパクトにチューナを作れるはずだ。ただ、半固定の構造になっている。調整するためには「調整棒」と呼ばれるものやマイナスのドライバーが必要で、ポリバリコンのような使い方はできない。1つのバンドに特化したチューナーを作ることにした。
 回路的にはこれまでのものと同じだが、私のQRPリグはアンテナ接栓にRCA端子を使っているので、RCAプラグに直結するチューナーとした。
 組み立てて、4k7オームの負荷を取り付け測定すると、予定した周波数帯でSWR1:1にすることができた。これなら半波長のワイヤーを取り付け、モノバンドのEFHWアンテナとして使えそうである。
 実際の運用に使ってみた。すると、動作が不安定なことに気づいた。EFHWはカウンターポイズがなくても動作する、また、1/10λほどのものを付ければよいと言われている。これは、同軸ケーブルやリグの筐体、リグに付加されているキーヤーなどのケーブルがカウンターポイズとして働いているからとされているからだ。
 しかし、今回のチューナーをリグに直結した構成では、このカウンターポイズの代替になる部分が不十分のようである。カウンターポイズは必要であると判断した。チューナーのGNDにワイヤーを取り付けることで不安定さを改善することができた。
 私は、このモノバンドEFHWアンテナを1Watterというリグで運用するつもりである。この組み合わせで何回か電波を出してみたのだが、まだ交信には至っていない。高い周波数帯では伝播状態が冷え込んでいて、お空が開けてくれないのだ。桜の開花とともにお空のコンディションも上がってくることを祈っている。製作記事のサイト

ハンギングMLA

ハンギングMLA 給電部

 春一番が吹き、続けざまに強風が吹きまくっていた。それでも日一日と日差しが強くなり、春が近づいてきたようだ。
 暖かくなると、屋外での運用がしたくなる。自然の息吹を感じながら、電波がどこまで飛んでくれるか、どんな局が応えてくれるか、思いを馳せながらのんびりするのは楽しい。
 野外運用で面倒なことはアンテナの設営である。その場の状況を見ながら、周囲の人に迷惑の掛からないよう伸展する。私が主に使っているEFHWという半波長のアンテナでも7MHz帯では20mになってしまう。もっと手軽なアンテナがないかと探していた時、おもしろいアンテナと出会った。
 MLA(Magnetic  Loop Antenna)というとても小さな輪のような形のものである。直径1m程度の大きさで7MHz帯で運用することができるという。市販もされているようでどれもコンパクトで野外運用でも手間なしに使えそうな大きさである。
 どのようなアンテナなのか調べてみると、構造はいたって簡単で、ループと組み合わせたキャパシタでその周波数に同調させ、この回路にカップリングさせたラインをトランシーバーに繋いでいる。カップリングにはさまざまなやり方があるようだ。とりあえず、手持ちの部品を使って実験してみる。市販品はループ部にしっかりしたパイプを使い、頑丈な輪を作っているが、見渡しても、私の周りにはそのようなものは見当たらない。そこで、手持ちの太めの銅線を輪にしてバリコンを付け、カップリング部も同じ銅線で小さな輪を作り給電できるようにした。手持ちの関係から、大きな輪は2m、小さい輪は40cmの長さの銅線である。組み立てて測ってみると10MHzと14MHzで同調がとれ、SWRをほぼ1に近くすることができた。こんな簡単な工作でこのデータが得られるとは驚きである。
 しかし、7MHzに同調させることはできなかった。そこで同軸ケーブルの編組を使うことにする。3mの同軸ケーブルで大きな輪を作り、給電部はトロイドコアを介する構造を試してみた。この大きさにすることで、7MHzでも同調が取れるようになった。調整をしているうちにCQを出している局が聞こえてきたので呼びかけてみる。リグは出力3Wである。何回かでコールバックがあり、交信が成立した。部屋の中で仮設状態でもアンテナとして機能している。
 このアンテナはどこまでシンプルにできるだろうとチャレンジである。普通のワイヤーでもできるのではないか、キャパシタQRPで使うのなら小型のトリマーは使えないか。プラスチックのハンガーにワイヤーを這わせ、横にツッパリの棒を入れて輪の形にする。キャパシタは重ねた金属板をビスで締め付けることで容量を変化させるタイプのトリマーを取り付け、ワイヤーの輪を繋ぐ。給電部はトロイドコアにワイヤーを通し、コアにエナメル線を巻いて同軸線へと繋げている。アナライザーで測定すると、しっかり同調点が見つかり、インピーダンスも50Ωに近く、所定の周波数でSWRを下げることができた。
 ただし、このアンテナは調整がクリティカルである。キャパシタの微妙な変化でデータが変化する。形状の変化も大きく影響する。また、キャパシタ部には高電圧が発生することもわかってきた。これが、市販品が太いパイプを使い、しっかりしたカバーを付けいている理由のようだ。モータードライブでキャパシタの調整をする機構が使われているのもこの高電圧対策なのだろう。
 取扱いに配慮しなければならないところもあるが、このMLAは移動運用に使えそうな気がしている。ハンギングMLAで山の上からCQを出してみたい。

QSOのためのパッケージ

Package for QSO

 かつて軽薄短小という言葉がもてはやされたことがある。なにごともコンパクトにまとめてしまおうという流れだったように思う。
 無線をする場合、電波を出すためにはさまざまな装置が必要であり、移動運用する時にはたくさんの荷物を持っていかなければならない。どれ一つとして疎かにできず、忘れ物がないよう何度も確認するのが常である。そのため、忘れ物のないよう移動用の機材を一つにまとめておくのだが、結構大きな荷物になってしまう。
 そこで、電波を使って交信するための最小限の機材を小さくまとめるべく、チャレンジしてみた。まだまだ工夫の余地があるが、110×150×50mmという大きさにまとめることができた。容積として825000立方ミリメートル、825立方センチメートル、すなわち0.825リットルという大きさである。この大きさならバックの片隅に忍ばせておくことも可能である。
 このセットはHF(短波帯)で電信を使って交信できる装置である。トランシーバーは7MHzと14MHz帯での運用が可能な初代のMountainTopperというリグ。掌に載る大きさだが2W程度の出力がある。DDSという仕組みで周波数を制御しているのでバンドの中を自由に動くことができ、周波数も安定しているリグである。
 電波を空中に放出し、また受けるためにはアンテナが必要である。ワイヤーを伸展し、そこに電波を乗せるのだが、このワイヤーが結構、嵩張る。特にトランシーバーからアンテナまで電波を送るための給電線が太く、曲がりにくい、くせ者である。そこで、この給電ケーブルを使わない方式をとることにした。アンテナ線をチューナーという装置使って直接トランシーバーにつなげる。EFHW(End Fed Half Wave)というアンテナで、小電力での運用ならではの使い方である。(高電力ではアンテナに高電圧が掛かるので大変に危険なのだ)
 ワイヤーアンテナは絡まりやすく、取り扱いが難しい。そのため、巻き取りの工夫をして絡まないよう、8の字に巻いてコンパクトに収納する。
 次に必要なのは電源である。最近、リチウムイオン電池が普及してきた。小さな電池でも高容量のものが手にはいる。単三乾電池とほぼ同じ大きさで3.7Vの電圧が得られるもの(14500)があり、これを2本直列にして使うこととする。長時間の運用はできないが数時間の運用は可能である。
 その他、受信音を聞くためのイヤフォーン、電信を送るためのパドル、運用状況を記録するためのメモ帳・筆記用具、無線局に必須の時計と無線局免許状、無線従事者免許証が必要である。時計や免許関係は別に持っていくとして、それ以外のものをまとめてポーチに入れたのである。
 実際の運用ではアンテナを伸展するための支柱なども必要だが、立木などを活用するとして、セットには含めていない。
 最近は伝播のコンデションがとても悪いのだが、自然の変化は気まぐれである。時に急にコンデションが上がり交信が聞こえてくることがある。このセットのような小さな構成で、どんな遠距離と交信することができるか楽しみである。

EFHW Tuner

SWR表示EFHW Tuner

 この頃の伝播コンデションは恐ろしく悪い。普段なら多くの局が聞こえてくるバンドでも時間によってはノイズしか聞こえないことがある。高いバンドになると開けていることのほうが稀である。リグの電源を入れてもぐるぐるとダイヤルを回すだけで、全くの空振りになることが多い。
 そんな時は、はんだごてを握って製作に没頭するのも一興である。製作の面白さは試行錯誤を繰り返し、うまくいかない原因を一つ一つ潰しながら、パズルを解くように、あれやこれやと考えを巡らせることである。そして、その末にその機器が思い通りに動作を始めた時、大きな達成感が得られる。これを体験してしまうと、もの作りから抜け出せなくなる。
 先日来、アンテナの整合表示回路の実験を繰り返してきた。アンテナが効率よく動作するためにはさまざまな要素が絡み合ってくる。更に、アンテナは伸展する状況によって特性が大きく変化するため、理屈通りには動作してくれないのだ。そのため、使用するその場での調整がどうしても必要になる。公園や山などで移動運用する場合、その限られた状況のなかでどうにか運用できる妥協点を見つける工夫が必要なのだ。
 移動運用の場でアンテナに手を加えることは難しい。リグも同様である。リグとアンテナはとりあえずそのまま使い、それらをつなぐ整合をより良くしていくことが重要になってくる。リグから出て行く電波ができるだけ反射して戻ってこないよう調整するのだ。これを定在波比(SWR)というのだが、進行波に対して反射波をできるだけ小さくするように調整する。安易な方法だが移動運用での妥協点である。
 あらかじめ使用する周波数の半波長になる長さのアンテナエレメントを用意し、理論的な同調を取っておく。そしてチューナーを使ってリグとの整合を取る。整合の状況を反射波の少なくなるところを目安にするのである。
 回路としてはとてもシンプルである。手持ちの部品を寄せ集めて組み立てた。しかし、動作を確認しても思い通りに動いてくれなかった。何度も回路図とにらめっこをし、回路を組みなおし、はんだ付けをやり直したのだが解決しない。トラブルの泥沼に長い間漬かっていた。そして、ふとしたことで大きな過ちに気づいたのだ。
 動作確認をするとき、ダミーロードとして50Ωの抵抗を使っていたのだが、このチューナーはEFHWを想定して設計してある。つまり、数キロΩになる給電点インピーダンスを50Ωに変換するトランスフォーマーの役割をしているのだ。だから、ダミーロードとしては数キロΩを使う必要があったのだ。気づいてみれば笑い話なのだが、泥沼からの脱出は容易ではなかった。
 こうして組み上げた「SWR表示EFHW Tuner」は思い通りコンパクトで、それなりの動作をしてくれている。もの作りの醍醐味を味わえた製作であった。 製作のページ

メジロの群れ

庭先のメジロ

 このところ庭先にメジロの群れがよく来ている。どうも朝方と夕方が多いようである。十数羽がかわいい鳴き声を立てながら飛び回っている。動きがとても速くて、こちらの藪から向こうの木の枝に、そしてまた屋根の上にと忙しい。近くに柿の木があり十分に熟れた実が残っているのだが、ときどき突っつきに行くくらいで、それだけが目当てではないようだ。紫陽花の株の中に入って、出始めた芽を啄んだり、カラタチの花を啄んだり、いろいろな餌を取っているようだ。ムクドリヒヨドリに威嚇されながらも、意に介さないように群れになって戯れている。
 枝に留まって休んでいる時、ふとこちらの気配を感じたのか白く彩られたまん丸の目で見返す姿が愛おしくなるほど可愛らしい。
 そんな小鳥たちの声を聞きながら、半日をデバッグに費やしてしまった。以前製作した機器なのだが、多少動作を変更して製作しなければならなくなった。プログラムソースを探したのだが行方不明。仕方なく記憶をたよりにプログラムを書いた。しかし、本体部分の動作は思い通りにいったのだが、割り込みを入れて動作を変更する部分がうまくいかない。
 この部分はPICの割り込み機能を使っている。割り込みをすると動作が止まってしまうのだ。コンパイルは正常にできているので、文法に誤りはなさそうだ。レジスターの設定がいけないのかといろいろ変えてみるが直らない。あれやこれやと半日が経ったころ、変数の定義に気がついた。プログラムの始めに変数の定義を入れてあるのだが、割り込みを記述する行の中にも変数定義が入っていた。割り込みのサンプル記述に倣って書いていたのだが、同じ変数について重ねて定義を書いてしまっていたのだ。
 わかってみれば単純なミスだが、見つけ出すまで半日掛かってしまった。この部分を修正するために、プログラムの中に参照を意味する「’」ダッシュを一つ入れて変数定義をプログラムから切り離すだけで解決である。
 せわしなく飛び回るメジロの群れはもう姿を消していた。またどこかの餌場に行っているのだろうか。ねぐらに戻ったのだろうか。私が小さなチップの論理に翻弄されているうちに、小鳥たちは大きな鳥たちの目をくぐり抜けながらも、のびのびと過ごしていたようである。