XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

森林浴を楽しむ

権現堂県営林

天候が安定してきた。晴天の特異日という10月10日体育の日もさわやかな天気に恵まれた。暑くもなく寒くもなく、野外で自然と戯れるには最適な時期である。
近場で自然を楽しもうと電車を使ってハイキングに出かけた。武蔵横手から一駅手前の高麗まで尾根を伝って歩く約10kmのコースである。
 その日の朝の人身事故の影響で電車に遅れが出ていたせいもあるが、満員の状態で横手駅に着いた。いつもなら降りる人はまばらなのだが、この日は改札を出るのに列ができている。そして駅前の女性用トイレにも長い列である。何かイベントでもあるのだろうかと考えながら出発する。
 五常の滝を目指して歩く。車も通れる林道なので傾斜もとてもなだらかで、家族連れの小さな子が裸足で走っていく姿も見られた。この時期は花の数が少なく曼珠沙華もすでに枯れ色になっている。ソバに似た小さなピンクの花が可憐である。汗もかかず話をしながら林道を進む。五常の滝は数mの落差だが岩の中から水が噴き出すように見え、なかなか風情がある。林道に戻り滝の流れ出すあたりを見るがごくふつうの流れで、この下に滝があるのも感じられない様子である。
 北向地蔵を過ぎ、尾根沿いに杉や檜の林の中を進む。県営林とのことで下枝打ちなどしっかり手入れがなされている。まだ密集した感じがあるので木の生育に合わせて間伐されていくのだろう。山の斜面が真っ直ぐに伸びた木々に覆われている風景は見事である。ここまで来ると人々もだいぶばらけてそれぞれがのんびりと散策を楽しんでいる。その中をしっかりと颯爽と走っていく人たちがいた。最近、山岳地域を走るスポーツが盛んなようで、いろいろな山道で同じような人々を見かけた。水の入ったリュックを背負い、身体にぴったりとフィットしたウェアーに身を包んだ人々である。瞬く間に姿が見えなくなる。「お先に」という挨拶が爽やかだ。
 物見山、高指山、日和田山とたどっていく。どの山も300mほどの低山なのでアップダウンはあまり厳しくなく、話をしながらでも歩くことができる。行き交う人々も高齢の方が多い。両手にステッキを持ち、ゆっくりと登っている。鳥の鳴き声を聞き、木々のそよぐ音に包まれて過ごす時間を楽しんでいるようだ。それぞれの頂上には標高を記した標識があるが、周りの木々が成長したために視界が遮られている。景色を楽しむのではなく「ベンチで一休み」という場所になっている。
 山を下り巾着田から見返ると、通ってきた山上の神社の鳥居が見えた。山上の鉄塔や山の高みをたどりながら今日の行程を顧みる。爽やかな秋の日の行楽であった。