XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

もの作りのおもしろさ

7セグ 電圧計の試作

技能オリンピック国際大会で日本の若者たちがたくさんのメダルを取った。メダル獲得数で韓国に次いで2位という成績だった。この大会はほぼ2年に一度開催され、情報ネットワーク施工やメカトロニクス、洋菓子製造などさまざまな分野の技能が競われている。出場には年齢制限があり、同じ種目には1回しか出られないという。そんな厳しい条件の中で、国内大会を勝ちぬいた各部門代表の1名、または1チームが挑戦している。ものづくりを支える技能の向上を目指し若者たちが頑張っている姿が見られるのはたいへんうれしいことである。
 
 ものづくりのおもしろさは創意工夫をしながら自分の力を発揮できるところである。やり甲斐、生き甲斐が得られる楽しさである。

 このところ7セグメントLEDを駆動する電圧計の製作に取り組んできた。同じようなものはすでに多くの市販品があるのだが、仕様を自分で決め、全体を形作っていくことに挑戦してきた。
 さまざまな構成が考えられるが、ソフトを主体に動作させることとしPicを使うことにした。まず、回路図を書く。Picのピン割り当てを決めておかないとプログラムが書けないからである。Picのデータシートからスペックを調べ、各部分の構成を決めていく。電圧を測定する回路とそれを表示する回路、そして今回は電圧を色で表示する回路を付加することとした。
 構成が決まるといよいよプログラムが始まる。ピンの割り当てを規定し、変数を宣言する。A/Dコンバーターの設定を行い、どのピンから入力するか、基準電圧は何を使うか、出力はどうするかなどデータシートと首っ引きになってプログラムに書いていく。得られた電圧データをもとに数値を変換し、7セグLedを表示させたり、マルチカラーLedを点灯させるデータを作る。そしてタイミングを調整しながらそれぞれのピンから出力させるようプログラムする。
 これまで動作させてきたプログラムの部分部分を移植することで円滑に作業は進んだ。そして回路を組み上げ動作テストである。思い通りに動いてくれることはまずない。考えも付かなかったような不具合で動いてくれないことがほとんどである。今回もLedは点灯したが7セグLedは数字にも成らず、マルチカラーLedは青色のままで変化しない。
どこに不具合があるのか、ソフトだけを疑うのではなく、一つ一つのデバイスについても検討していく。
 この作業に多くの時間を費やしたのだが、結果的にはPicをどのように使うのか最初に規定するコンフィグレーションのミス、およびそれに伴って規定以上の電流が流れることになってしまった電源回路の破損が原因であった。
 電圧の変化に伴って数字が変わるようになった。校正によって所定の電圧表示するようになってきた。電圧によってLedの色が変わることも確認できた。ほぼ仕様を満たすものに仕上がってきたのだが、気になることが出てきた。ダイナミック点灯という方式で人の目の残像を利用し高速で各桁の点滅を繰り返すことで複数の桁を表示している。点滅の間隔を早くするほどチカチカ感がなくなる。しかし逆に前後の桁のデータが影響して表示が見にくくなってしまうのだ。どの程度の間隔で行うか試行錯誤を繰り返した。
 最初に定めた仕様に近づけるため、いろいろ工夫を繰り返した。山に登るのには一つの道だけでなくさまざまな道があるように、開発には多様なアプローチが可能である。もの作りのおもしろさは、ぶつかる壁をどう乗り越えるかの試行錯誤の後にある達成感であると思う。さて、ここで得られたノウハウを次は何に活かしていこうかな・・・。