XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

カリガネソウ

shig552010-08-23

 毎日の猛暑を逃げ出そうと、高原に向かった。高速道はいつも渋滞しているので時間差を付けて出かけようと、朝の5時には車をスタートさせた。
 朝の空気は東京でもまださわやかだ。クーラーを切り、窓を少し開けて車を走らせる。この時間だと車の数はまだ少ない。順調に進んでいく。日の出から少したった時間なので、朝靄にかすんだ中から太陽が真っ赤な姿を現す。まだ暑さを感じさせない太陽である。
 約3時間ほどで目的地に近づく。緑の濃さが増してくる。朝靄も晴れてきて木々の緑が鮮やかになってきた。一般道に降りてもまだ車の数は少ない。観光地なのだが旅館ではまだ朝食の時間なのであろう。人影もまばらである。
 ハイクの出発点に着く。駐車場もまばらに車が止まっているだけで、木陰になりそうなところに車を止めることができた。身支度を調えて8時前にはハイキングに出発である。今回は片道を低公害のバスで湿原の奥まで送ってもらうこととする。バスに乗り込みしばらく待っていると、ほぼ満席になる。普段は閉じられているゲートをくぐり、バスは林の中を静かに進む。鳥たちの声が周り中から聞こえてくる。
 いよいよ歩き始める。木道が整備されとても歩きやすい。気温は20℃程度のようだ。さっぱりして汗も出てこない。風が気持ちよく肌をなでていく。深呼吸をしながらゆっくりと歩を進める。木道の周りには鮮やかな色の花々が点在する。季節ごとに花の種類は変わっているようだ。今はホザキシモツケがたくさんあるのだが、もう盛りは過ぎてしまったたようだ。
 フウロウやキツリフネキンミズヒキアキノキリンソウツリガネニンジン、キオン、ワレモコウ、ウメバチソウ、リンドウ、トモエシオガマ、クサレダマ、など高原の花たちに出会うことができた。
 その中でおもしろい形の見慣れない花があった。おしべが花弁から大きく張り出し、花弁の上側に大きく伸びている。何とも不思議な形である。オンシジュウムのような蘭などで見かけるような花の形に似ている。その辺り一面に群れになっているのでいろいろな角度から写真に撮る。
 ハイキングを楽しんで出発地点まで戻った。もう、ネイチャーセンターもオープンしていたので、写真を見せて花の名前を尋ねた。すると図鑑を見せてくれて「葉に触ってみましたか」と聞かれた。なんでもこの草は全体に独特のにおいがあり、一度嗅いだ人は決して忘れないほどの悪臭なのだという。幸か不幸か、私は写真撮影に夢中になっていたので、草に触れることなく臭いに気づかなかった。
 説明によると、虫が蜜を吸おうと頭を差し込むと、その力でおしべが押し下げられ、虫の背中部分に花粉が着く仕組みになっているのだそうだ。
 今回はこのカリガネソウとの出会いが大きな収穫のハイキングであった。