XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

ハグロトンボ

ハグロトンボ

 お盆の高速道路渋滞予測が出されていたが、時間をずらせば大丈夫だろうとのんびりと出かけた。和紙の里で有名な埼玉県の小川町である。今回は特に目的があるわけではないが、自然の中を歩きたいと車を走らせた。
 埼玉伝統工芸会館・道の駅の近くに「見晴らしの丘公園」という施設がある。この一帯にはカタクリの群落やニリンソウの群生地、蝶のオオムラサキの林があり、よく散策するところである。
 公園のある仙元山を登ってみることにした。この山は標高298.9mという里山である。ローラー滑り台の出発点の脇からなだらかな登り道が続いている。しばらく歩いていると、足下から真っ黒なチョウのようにひらひらと飛ぶ生き物に出会った。歩くたびに行く手に飛び出してくる。飛び方はチョウのようだが形はトンボである。それも羽が真っ黒で、尾の部分はとてもきれいな青緑色の金属光沢だ。手が届きそうなところにいるのだが近づくとひらひらと離れていってしまう。なかなか近づいて写真を撮ることができない。気をつけて見ると尾の部分が黒褐色のものもいる。たくさんのトンボたちに囲まれて山道を登っていった。
 
 仙元山の頂上は広場になっていて標識がなければ頂上と気づかない場所であった。標識のところから小川の町方向に木々が開けており、駅や町並みが見渡せる。
 下りの道は別のルートを通ったのだが、またも、たくさんのトンボたちの中を歩くことになった。地形的にはこの山の麓に川が流れていて、トンボはその川で生まれたのだろう。そして成虫になり、この山の林の中で暮らしているようだ。

 帰宅して調べてみると「ハグロトンボ」というトンボのようだ。羽が黒いということではなく、オハグロのような黒いトンボという意味だという。また、神様トンボとも呼ばれるそうだ。全国各地で生息していて、どこでも見られる種類のようだが、私には初めての出会いであった。生き物との出会いは季節と場所が合致しなければなかなか叶わない。今回は幸運な出会いであった。