XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

天体ショウ

shig552008-12-06

朝晩の寒さが増してきた。紅葉が進み、桜の葉が赤から褐色に近くなり、その数もだいぶ少なくなった。出勤途中の時間帯、桜並木が朝日を横から浴びて輝いている様子は、一見の価値がある美しさだ。

気温が下がると空気中の水分が少なくなるので、空気が澄んでくる。夜空の星たちの輝きも増す。この頃の主役は金星と木星、そして月だ。12月1日、ちょうど三日月で、金星と木星が目、上側に弦のきた三日月が口のような位置関係になり、にっこりマークが夜空に出現した。それぞれの明るさが際だっているので、私の住むあたりでもよく見える。惑星と月がこのような位置関係になるのは何年に一度なのだろうか。珍しい天体ショウに見とれてしまった。
このごろ金星と木星がだんだんに近づき、美しさを競い合っている雰囲気が続いているので、毎晩注意していたのだが、その競い合いに月が割り込んできたような感じである。
12月3日になると月が月齢を増し、金星や木星よりも遅れて昇ってくる。夕方には惑星たちは地平線に近く横に並び、その斜め上にちょっと太った月がちょうど風を受けてしなったような形で輝いている。そう、凧揚げのような図柄である。金星と木星から見えない糸が伸び、風を受けた月が空高く舞い上がっているような位置関係になっていた。

今日は雲が多く、全天を見ることは出来ないが上弦の月がきれいだ。惑星からだいぶ離れてしまい、一つの絵柄には納まらなくなってしまっている。木星の明るさがやけに目立っていた。

毎日アクセクと暮らしている中で、ふと空を見上げたとき、思いもよらないショウが繰り広げられているのを発見するのは嬉しいことである。家に帰り、あわてて天文年鑑などを開いて星の動きを調べる。天体の見かけ上の動きはほぼ計算により予想されているのだが、実際にこのようなショウを目にするとき大きな感動を覚える。

天球儀を買ってしまった。あるミュージアムショップで、組み立て式の天球儀が売られていたのである。ペーパークラフトで五角形と六角形の組み合わせで、半球を造り、北極星側と南十字星側を合わせると全球の天球儀になる。切れ込みを順に合わせ、裏側からセロテープで留めていくだけで半球が出来上がってしまった。よくもこのような立体図形を考えたものである。さらに一つ一つの五角形、六角形の中に折り込まれる位置に合わせて星を印刷してある。立体としての位置関係を平面の中に印刷できるよう細かな座標変換を行っている。説明書には「コンピュータによって印刷された」とさりげなく書かれているが、すごいことをやるものだ。
一つ一つの星は蛍光塗料で描かれており、電灯を消すときれいに光る。通常、この天球儀の中心にいて星を見ているわけだから、外から星を見るのは奇妙な感じである。見かけ上の星の位置を球体に投影したものが天球儀であるから実際の星の位置を表しているわけではない。宇宙空間のどこかに視点を置いてもこのような景色を見ることはない。では、暗い部屋の中で輝いている天球儀は何を表しているのだろう・・・と変な気持ちになってしまう。
星座と星座の関係や天球での位置関係を見るには便利である。本来ならば天球儀の中心に視点を置いて天球を見るべきなのだが、こんな小さな天球儀でもおもしろい。

街の明かりが明るいので、夜空の星もわずかしか見えない。しかし、惑星はとても明るくなるときがあるので華やかである。この数日は楽しいショウを楽しませてもらった。次はどんなショウに出会えるか楽しみである。