暑さ寒さも彼岸まで。秋分の日を過ぎたら途端に秋の涼しさがやってきた。上着が欲しいほどの気温になったり、半袖でも暑いと思うほど気温が上がったり、太平洋上の高気圧はまだまだ安定していないようだ。
しかし、空の景色は確実に秋になっている。青空の中に筆を一掃きしたような雲の筋が浮かんでいる。大気も透明度を増してきているようだ。
初秋の味覚、プルーンも食することができた。ほんの短い期間しか味わえない味。今朝食べたのはもう熟しすぎてしまい、あのうまさはなかった。一時期しか味わえないからこそ、あの味が忘れられないのかも知れない。
オークションで特定小電力のトランシーバを手に入れた。国産のものと比べると半分から三分の一の値段である。仕様を見ると国産の名のあるメーカーのものと遜色ない機能が付いているようだ。値段に釣られて購入してしまった。
品物が届き、どんなものだろうと電池を入れ、交信を試みた。チャンネル設定は正常、送受信もできている。液晶表示も正常、表示ランプは青色LEDが使われている。筐体の塗装はラバーコーティングがなされ、手にも馴染む感じだ。全体のデザインは国産の有名機種によく似ている。
ところが、とんでもないことに気づいた。音質である。籠もった音で、話している内容がよくわからない。自分で話して自分で聞いても検査にならないので、AMラジオの音を送信してもう一つで聞いてみる。やはり籠もっている。明瞭度が極端に悪いのだ。音質については仕様書にも書かれていない。また、数値的に表現しにくいところである。主観的な部分でもある。
メーカーに問い合わせてみた。こちらの使用状況を説明し「音質が悪く了解度が低いのは初期不良なのか、調整不良なのか」とメールで尋ねたのだが、「メールではわからないので検品をするから送るように」との返事があった。メーカーのサービスに送ると、検品の結果が知らされてきた。
「T-150R同士でAMラジオの音を送受信したり、別のトランシーバーからラジオの音を送信して、T-150Rで受信したりと色々と試してみましたが、どの方法でも『話の内容がわからない』ようには感じられませんでした。」「こちらは弊社で確認した限りでは、【不良品とは申し上げにくい商品】との結果になりました。ご指摘の通り『この製品のもともとの性能なのか』と問われましたら、【もともとの性能です】との回答になってしまいます。」
「もともとの性能」と言われてしまえば、致し方ない。安価で購入したのであり、仕様に偽りはないのだから、正常に通信ができることを求めるのはこちらの思いこみによる要求になってしまうようだ。
検品を終了した品物が返送されてきた。「それなりの性能」のものを確認してもらったのだから送料はこちらが持つべきだと、メーカーに請求してくれるよう伝えたが、今回はメーカーが送料を負担してくれた。それなりの誠意が感じられる対応であった。
しかし、トランシーバーという品物の特性を考えるとき、音質・明瞭度・了解度は大きな要素であると思う。変調の度合いやレシーバーのアンプ部のひずみなど総合的な調整によってある程度のレベルに達しているべきものだと考えるのだが、これが「もともとの性能」と言われてしまえば、現品を確認せずに購入した方の手落ちである。ネット通販の怖さを勉強した一件である。