XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

PMC(民間軍事会社)

shig552007-07-28

この2,3日蒸し暑い日が続いている。すっきりとした夏の太陽とは言い難いが、暑さだけは増してきた。そろそろ梅雨明け宣言のようだ。中越沖地震で被災した新潟方面は雨模様だという。上空から撮影された映像には、ブルーシートが掛けられた家々が映っていた。あたかも被害状況をマッピングしたようである。家々の片付けも本格化してきたという。何らかの形でお手伝いしたいと思う。

PMCと言う言葉を知った。Private Military Company 民間軍事会社が大変な勢いで増加している様子を東京財団の委託研究員 菅原 出さんの本「外注される戦争」で読んだ。
イラクで大規模戦闘が収束したと言われ、復興への取り組みが行われている。日本からも自衛隊がさまざまな支援活動で参加した。約600名と言われる自衛隊員を日本の国として派遣したのだが、イラクでは1社でそれを上回る要員を派遣しているPMCがたくさんあるのだという。軍が活動するためには兵站が重要である。物資の輸送、基地の警備、給食、清掃から医療にわたるまでざまざまな分野で民間の企業がその仕事を請け負い活動している。紛争地帯での警備活動は死との隣り合わせの業務であり、しっかりと訓練された元軍人などが雇用されているという。
驚いたことには軍や警察の訓練や態勢強化までもPMCが受注しているのが現実だという。

「水と空気と安全はタダ」という状況は日本でもずいぶん昔のことになってしまった。安全は国家が与えてくれるモノ。安全な生活を送れるのは当たり前と考えてきた生活は過去のモノになっている。東京オリンピックを契機に警備会社が設立され、さまざまな分野で警備会社の活躍の場が増えてきた。「ザ ガードマン」というテレビ番組が懐かしい。何か新しい時代が始まったように感じていたが、現実には国家によって提供される安全では不十分な時代になってきたのだ。今では企業だけでなく個人が警備会社と契約を結び安全を手に入れなければならなくなった。

戦争という国家・政府が主体となる活動においても、民間企業が関わらなくては遂行し得ない現実がある。逆に言えば戦争が企業活動の場になっているのだ。企業の論理で言えば経費を低くして収益を上げるように動くのが当然である。イラクにおける警備など危険な業務に、世界の貧しい国々の元軍人が就いている。それぞれの国の基準では高給で雇われるのだが、他の国の経済水準から言えば不当に安い労働力と言うことになる。戦争には国としての大義名分があるのだが、それとは別の場面では企業論理が働いているのだ。

国・公共団体とは総意であり、「公」である。企業論理とは一線を画したものでなくてはならない。紛争地域における安全と、そうでない地域での安全には程度や質の違いがあるのだが、PMCに見られるような民間委託の行政がさまざまに進んでいる現状を見るとき、「公」とは何かを改めて考えざるを得ない。