変わった生態の花です。この季節になると白い穂が土の中から顔を出します。15cmほど伸びると、その先端がほのかに紫がかったピンクが広がります。そして花が開くと柔らかなユリのような形で、とても目立ちます。土の中から花だけが顔をのぞかせているような様子です。
とても華奢で、風に吹かれたり、ものに当たったりすると、その細い花柄は折れてしまいます。それでも群生して開く鮮やかな色はホット心を慰めてくれる花です。
花の時期は短く、一つの花は1日ほどで萎れてしまいますが、つぎつぎに穂が伸びてきて一面を紫ピンクに染めてくれます。そして花が終わると、何もなかったように痕跡を残さずもとの地面に戻ってしまいます。暫くすると葉が伸びてきて、青々とした草原になるのですが、あの花とこの葉が同じ個体であると理解するのが難しいほど土の中に隠れている期間があるのです。
この植物はコルチカム・ウォーター・リリーと呼ばれています。土の中では大きな球根が育っていて、ほとんど手入れをしなくても毎年球根が増え、花の咲く地面が広がっていきます。
亡くなった母が、舗道の街路樹の周りに植えてあったツツジが枯れてしまった後に、この球根を植えたようです。普段は全くその存在を感じさせないのですが、この時季になるとその存在が目を楽しませてくれます。
舗道管理の業者の方が街路樹の周りの草を刈り取って、それと一緒にコルチカムの花も刈り取られてしまいました。でも、この一角だけは花を残してくれたようです。
今回刈り取られた場所の花も、また葉を茂らせ、球根を太らせ、また来年も花を見せてくれるでしょう。