XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

車用電圧計

shig552009-12-22

 寒気団が南に下がってきているようで、日本海側を中心にたくさんの雪が降っているようだ。太平洋側では晴れの日が続いている典型的な西高東低の冬型の気圧配置である。
 雪の上を通ってきた乾いた風は、とても冷たい。底冷えのするような寒さとはこのことだろう。陽射しがあるうちはまだ我慢できるが、日が陰ると足下からじわじわと冷えてきて暖房がなくては我慢できなくなる。

 車に取り付けている液晶表示の電圧計が誤動作をするようになった。10Vを下回る表示をするので、いよいよバッテリーの性能が低下したのかと、テスターで測ってみると正常の電圧である。数ヶ月前に新しいバッテリーと交換したのだから、まだバッテリーが劣化するには早すぎる。やはり、電圧計自体がおかしくなってきたようである。
 代替の電圧計を探したが、手元には見つからなかった。そこで、有り合わせのもので作ることにする。ジャンク箱を見回していると、以前、携帯電話の充電に使っていたシガープラグが見つかった。携帯電話も世代交代が進み、すでにこのプラグで充電できる電話は廃棄されてしまっている。役に立たないままジャンク箱に眠っていたものである。
 形状はシガープラグの根元に電圧を変更し携帯電話を充電するために回路が組み込まれている。この部分の基板を取り外し、電圧計の回路を組み込めば使えそうである。
 電圧計の回路は以前に作ったことのある12F675を使ってモールスで電圧を表示する回路を組み込むことにする。これは私のホームページで紹介したところ何人もの方から問い合わせをいただき、製作してもらった実績のあるものだ(七色表示、モールス電圧計のページ
 フルカラーLEDを使い、電圧ごとに色で表示する回路である。アラームとしての機能も持たせてあり、電圧が10.5Vを下回ると赤色の点滅と圧電素子からの警報音で知らせるようにプログラムしたものである。

 シガープラグを分解したところ、電圧表示の回路を組み込むのに十分なスペースがあることがわかった。そこでプラグとしての機能を残し、組み込まれていた充電回路を取り去り、ユニバーサル基板をそのスペースに入るように切り出した。そしてフルカラーLEDの窓を作り、モールス起動用の押しボタンが顔を出すようケースの加工を行った。

 電圧の測定や表示はマイコンのプログラムで行っているので、回路は簡単である。ユニバーサル基板に部品を適当に配置しハンダ付けをする。30分程で出来上がった。可変電圧電源装置とテスターを使って、校正をする。あまり厳密な表示までは追い込むことも出来ないので、小数第1位程度までとする。VRを数回調整することでだいたいテスターの値とモールスの表示が同じようになってきた。

 モールスの表示は4けたの数字で送出される。
押しボタンを押して、・−−−−   ・・−−−  −−−−− ・・・・− と鳴ったときには{1}{2}{0}{4}であるので12.04Vと読み取ることが出来る。LEDの色の様子でだいたいの電圧はわかるのだが、詳しく知りたいときにはこのモールス表示が役に立つ。

 この工作はジャンクの再活用であるが、ただ眠らせておいたり、廃棄してしまうよりはエコなのだろう。それにしても、役立つのは充電器の心臓部分である高価な電子回路ではなく、ケースだけでというのは何ともアイロニーである。