XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

さらに小さく

shig552008-02-01

もう2月にはいってしまった。如月は衣更着とも書くが、これは誤りだそうだ。「生更ぎ」ということで草木が再生することの意だとのこと。しかし、このごろの寒さは厳しい。衣更着という言葉がぴったりな気温である。例年よりは暖かいというが、雪の上を渡ってきたような冷たい風が肌を刺すのはつらい。帽子をかぶり、マスクをし、マフラーをぐるぐる巻きにし、襟を立て、厚い手袋をして通勤である。
明日は節分、そしてその次の日は立春である。「暦の上では・・・」というフレーズを使う時期になる。春が待ち遠しい。

モールスで電圧表示をするバッテリー監視装置を作った。しっかり動作してくれるので気に入っている。しかし、気にいるとさらに良くしたいと欲が出てくる。もっとスマートにしたい、小さくできないだろうかと考える。タカチ電機工業のSW-40というW30×H20×D40という小さなケースに収まっているのだが、この厚さが気になるのだ。20mmという中にブザーを入れ込むのはそれなりに苦労したところである。なにしろブザーの厚みは18mmもあるから、これを入れるだけで基板の分がなくなってしまう大きさなのだ。このブザーを使わず、他の回路を考えなくてはさらに薄くすることはできない。

そこで、音の出る回路を圧電素子(ピエゾ素子)を使うことにする。ピエゾ素子は特殊なセラミックの板に電圧を加えることでその板が変形する現象を利用したスピーカーなので厚さが1mmにも満たない。さらに共鳴効果を得るために、ケースに貼り付けて使うことができる。しかし、音を出させるためには単に電圧をかけるだけではなく、発振した電圧にしなければならない。この部分はPICでソフト的に対応できる。
MikroBasicのLibraryにはSound_Playというサブプロージャーが用意されている。これを使えば音を作ることができそうである。

さっそく、プログラムの改造をした。LEDの制御と音との関係で多少てこずったが、ブザーを使ったものと同じ動作をするプログラムが出来上がった。

次は、実装である。できるだけ薄い形にしたいので、適当なケース選びからはじめた。タカチからSW-53というケースを見つけた。W36×H11×D53という大きさである。この寸法は外形なので、内寸は8mm程度の厚さしかない。基板を含めすべての部品をこの薄さの中に入れることにする。

PICはDIPのものでもソケットを使わずそのまま取り付ければ、クリアできそうだが、表面実装用のチップ型のPICが手元にあったのでこれを使うことにする。ただし、専用基板を起こすまでは手が及ばないので秋月の変換基板を活用してユニバーサル基板で対応する。背の高いVRは精密用の多回転VRをあきらめ、汎用のもので足の広がるタイプを貼り付ける。抵抗などは1/6Wの小さなものを使う。LEDやSWは基板から外して横向きに配置する。

悪戦苦闘のレイアウトの末、ケースに収めることができた。ただしLEDとプッシュSWの取り付け部分は蓋の一部と衝突してしまうので、蓋の加工が必要である。

日本の文化は軽薄短小に向かうといわれているが、そこに向かうためにはさまざまな工夫と努力が必要なことを実感した。でも、おもしろい、やりがいのあるチャレンジである。