XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

もったいない

shig552009-03-21

 春分の日が土曜日曜とつながり、三連休。ゆったりとお墓参りをすることができた。皆さんも同じ思いなのかお墓には、これまでになくたくさんの人がお参りに来ていた。先に逝った人や祖先を想い、墓にお参りするこの風習はなかなかいいものだ。花を手向け、線香をあげ、静かにこうべを垂れる。いつもはここで終わるのだが今回は墓誌をじっくり見てみた。祖父母やさらに前の人々、戦死した人や幼くして亡くなった人、話に聞いてはいるが、墓誌にその名前を見ると時間の流れ、人のつながりを実感する。合掌。
 サクラの開花が南の方から広がってきた。このあたりでも今日か明日には開花宣言が出されそうだ。急な暖かさでつぼみも急速にふくらんでいる。景色の変化として春がやってくる。

 ディスカウント店を覗いてみた。通常の流通経路から何らかの理由で外れてしまったものがこのような店に集まってくるようだ。今回見つけたのは「Universal Cellular Hands-Free Kit」というもの。車の中などで携帯電話に取り付け、電話機を置いたままでも通話ができるようにする装置である。携帯電話のスピーカー部分をクリップ状のもので挟み、そこでピックアップしたものを本体で増幅、スピーカーを鳴らすという装置である。携帯電話の固定具やイヤフォンまで付いて198円。信じられない値段である。どのような回路になっているのか興味をそそられて購入してしまった。
 車での使用を考えたものらしくシガープラグで電源を取る仕組みだ。トラックなどでも使えるよう24Vにも対応しているという。ケースを開けてみると、シガープラグからの電源は9Vの三端子レギュレタを通して使われている。ICを使った増幅回路が組まれ、スピーカーを鳴らす仕組みのようだ。携帯のスピーカーを挟むクリップからの信号を入力している。試しにこの入力にコンデンサマイクを繋いでみるとしっかり音が出た。つまり、スピーカー付きのアンプである。
 これだけの部品を集めたらどのくらいの値段になるのだろう。シガープラグだけの値段で購入したようなものである。推測するに、このクリップで携帯のスピーカーを挟むという方式は、昔の携帯の形を想定したもののようだ。つまり、今の携帯はほとんどフリップやスライドの形式になっている。昔のような一体型は少ない。また、こんな大がかりな装置を使わずとも、イヤホンと一体になったマイクを使えばハンドフリーの通話が可能である。携帯の形が変わったことと、ハンドフリーということに拘りすぎて、装置を大仰にしてしまったので、売れなくなってしまった商品のようだ。そのために捨て値で出回ったと言うことだろう。
 さて、せっかくのアンプである。何か使えないかと考えた。
 (1)携帯式の拡声器
 最近、街中でガイドをしている人が首から提げた小さなアンプを使っている姿を見かけたことがある。出力は小さいが、マイクを使えるようにすることで、拡声器として使えそうである。電源は006Pの9V 電池を使うことにする。三端子レギュレタをパスして、電池を直接回路につなげるように配線をした。すこし音量は頼りないが、大きな声を出さなくても周りにいる人には聞こえるような音が出る。小さいので首から提げて使用できるものができた。
 また、マイク部のコードを長くしてあるので、スピーカー部を耳に近づけ、マイクを聞きたいものに向ければ聴診器やコンクリートマイクのような使い方もできそうである。
 (2)実験用アンプ
 回路を作っているとき、回路の途中から信号を取りたいときがある。そんなときに使えるよう(1)のマイクの代わりにクリップを付けた。テストポイントにこれを繋げば、そこからの音を聞くことができる。あると便利な装置である。

 ディスカウント店で見つけたものが、別の使い方で復活したように思う。製品はねらいが外れてしまうとまったく売れなくなってしまうが、こんなふうに別の使い方ならもっともっと活用できるのではないだろうか。
もったいない、もったいない。