XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

SAWDUST

SawDust Receeiver

今日は敬老の日。これまで15日と頭に刻み込まれていたので月曜日に移動してしまうと収まりが悪い。ハッピーマンデーという政策だというが記念日としての意味合いは薄れてしまうように感じる。
 沖縄周辺を襲った大型の台風16号は日本から遠ざかっている。しかし、が湿った空気が流れ込んでいる影響で四国では断続的に非常に激しい雨が降っているようだ。東京でも周りには青空が見えていても急に空が暗くなり雨が降り出すという一日だった。

 SAWDUST(おがくず)という名前の7Mhz受信機が手に入った。SAWDUSTというのは「実質のない、つまらない」という意味もあるようだが、なかなかおもしろい装置である。BreadBoardRADIOというところから出されているキットである。BreadBoardという言葉も(パン切り台、または実験用の電気回路板)という意味だそうだ。会社の名前からしておもしろい。
 この受信機は再生(regenerative)という仕組みで電波を復調する回路で、わずかな部品で構成されている。当然、いくつもの局が同時に聞こえてきてしまうし(選択度)、周波数がだんだんに動いてしまい(周波数安定度)、通信という面では実用的ではない。しかし、バンドの状況がどうなのか、開けているのか、たくさんの局が出てきているのかなどアマチュア無線の人気バンドである7Mhz帯の様子を知るのには十分な感度である。
 50mm×50mmという小さな基板の上に構成され、部品間の間隔も十分に取ってあるので工作はそれほど難しくない。でもマニュアルはあまり丁寧ではなく、写真や実物を見比べ、回路図をたどりながら作業をする必要がある。特にトロイダルコイル周辺はどの穴にどのコイルを接続するのか慎重な作業が必要である。マニュアルではテスターで導通を確認しながら進めるとなっているが文章だけで判断するのは難しい。
 アンテナとして数mの線を繋ぐだけで遠いところからの電波が聞こえるのはロマンがある。インターネットや携帯電話がなかった時代はまだそれほど昔ではない。一人の人間が生きてきた時間の中でラジオの時代があり、テレビの時代があり、衛星放送の時代があり、携帯電話の時代、インターネットの時代があった。驚異的な技術の進歩だがそのすべてが私が生まれてからの変化である。
 掌に乗るこんな小さな受信機から、不安定な懐かしい音が聞こえてくる。かつてのラジオの時代に戻ったような気分である。The price is only $24.95 with free shippingとこの円高の時期では2千円程度で手に入る楽しみである。製作者であるBillにこんなに安くていいのかと聞いたのだが、彼は至って鷹揚である。彼もまたかつての時代を懐かしんでいるのかも知れない。