XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

PLC認可に反対する

shig552006-12-08

季節は二十四節季の「大雪」になった。まだ雪の便りはあまり届かないが、北陸方面へは車の滑り止めの携行が呼びかけられている。
朝方、西の空に見える月は真っ白だった。日の出の時刻も遅くなり6時半過ぎになっている。雲の多い日など通勤時刻にもまだ街灯が灯っている。

おもしろい話を聞いた。ウサギとカメの話しである。
なぜ、ウサギが競争に負けたのかと言う分析だが、両者の見ているものが違ったからだというのだ。カメはゴールを見つめてスタートした。しかしウサギはカメを見てスタートした。カメのゆっくりした歩みを見て競走をしたので、油断が生じ負けてしまった。だからこの勝負は始まる前の心構えで決まっていたという解釈である。
プロジェクトを進めるとき状況分析は大事である。どのような課題があり、どんな支援が得られるか、課題は何か、競合する対象は、などさまざまな角度から分析し到達手段を考える。しかし、そうする中で競走相手がいる場合にそちらに気がとられ、本来の目標がぼやけてしまうこともありがちである。愚鈍といえる正攻法がかえって有利になることもある。シンプル イズ ベストもあるのだ。

PLCの認可に対してアマチュア無線の有志が取り消しの提訴をした。使用される周波数帯がアマチュア無線の周波数帯と競合するのである。家庭内だけのLAN接続に使用するというPLCではあるが微弱な信号を追いかけるアマチュアにとって、電灯線に重畳されるネット信号は驚異である。技術の改良によって外部への漏洩は減少したとは言え、隣の家で出されている信号が影響しないわけがない。まして常時接続が当たり前になっている現状で、PLCが普及すれば電波資源が使い物にならなくなってしまうおそれがある。
PLC推進の理由としてLANケーブルを引き回す煩わしさの解消があげられている。電灯線が家庭内に引かれているのと同様に、最近の住宅ではLANケーブルも同様に各部屋に配線されている
。接続コードを2本より1本という考えなのだが、それほどの違いがあるのだろうか。各家庭まではこれまで通りのADSLや光で接続し、配電盤でモデムから信号を重畳する。そしてPCのところで電源ラインからモデムにより信号を分離する方式だという。これほどまで複雑にする必要があるのだろうか。信号は信号、電源は電源で良いと思う。
携帯電話・衛星通信などの進歩で超短波帯の利用が進んでいる。しかし短波帯の活用によって無線通信が発展してきた歴史がある。アマチュアのさまざまな試行錯誤の中から多くの技術が花咲いてきた。1w以下の微弱な電波が思いもよらないところまで到達する自然の不思議さを感じさせる世界である。利便性という視点だけで、電波資源を荒らすことは止めて欲しいと思う。自然界の雑音の中にかすかに聞こえる信号を読み取るロマンを大切にしたい。人工雑音で満たされる世界はまっぴらだ。