
前回、5mほどの垂直エレメントを継ぎ足し構造にすることでマルチバンド仕様のアンテナを作った。これをさらに拡張して10MHzや7MHzでも使えるようローディングコイルを付加した。継ぎ足しエレメントの24MHz用の部分をこのコイルに交換する仕組みである。以前に製作した7,10,14MHz用の垂直アンテナと同じ構造なのだが、コイルを入れる位置が異なるので、コイルの巻き数などの調整が必要だった。また、コイルの巻き数をバンド毎に切り替えるスイッチ部分も変更した。
コイルの挿入位置が給電点から上側に移動したことで巻き数を調整した。試行錯誤のすえ求められた巻き数が10MHz用に20T、さらに7MHz用に追加の巻き数が25Tであった。25mmφのアクリルパイプにルーズにワイヤーを巻き付け、測定しながらその粗密を調整することで目的の周波数で整合するように調整している。このコイルをスルーさせれば14MHz用として機能する。
コイルの巻き数を切り替える機構だが、シンプルにジャンパーピンを使った。切り替え部を3ピンとして出しておき、ジャンパーピンを左右いずれか、またはどちらもジャンパーしないことで切り替えている。アクリルパイプに中にこの部分を押し込んでおけば特に不具合はなかった。
こうしてこのコイルを挿入することで7MHz、10MHz、14MHzに対応したアンテナにすることができた。また、継ぎ足しエレメントをその部分で切り離せば18MHz、21MHz、24MHz、28MHzでも運用できる。7バンド対応のアンテナである。 XRQTechLabのページ
このアンテナはQMXを念頭に製作した。UKのQRPLabsから頒布されているQMXは3つのバージョンがありローレンジのものが80m、60m、40m、30m、20mの5バンド仕様、ミドルレンジのものが60m、40m、30m、20m、17m、15mの6バンド仕様、ハイレンジのものが20m、17m、15m、12m、11m、10mの6バンド仕様になっている。このアンテナは80m、60mには対応しないが、その他のバンドにはほぼ対応するアンテナなのだ。QRPLabsからはQMX+(プラス)という160mから6mまでの機種も出ているので、このアンテナは継ぎ足しを増やせばもっと多バンドの仕様にも対応できる。
QMXを入手し、マルチバンドでの運用ができるので、いろいろなバンドでの運用が楽しめるよう手軽なアンテナがほしかったのだ。
蛇足だが、QMXは5Wの公称出力になっているが、リチウム電池3本を電源とした場合の実際の運用では2~3Wになる。それでも国内ならあまりストレスなく運用できる。キットとして販売されているが6層の基板はハンダ付けが難しく、製作の難易度は高い。そのためか、組み立て済みのものも販売されるようになった。以前は発注しても1年近く待たされたが、最近では2ヶ月ほどで入手できるようになっている。
バナナプラグに指しただけのエレメントと言うことで、引っ張ればすぐ抜けてしまう心許ない構成なのだが、手軽なQRPでの移動運用を想定しているので特に不具合はない。
コンパクトにまとめることのできるアンテナとしてQMXやQCXminiと良い相棒になってくれそうである。