XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

バグは最後の最後に見つかる

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思わぬところにバグは隠れている

 トラブルシューティングの話である。不具合の原因を探して試行錯誤するのだが、なかなか見つけられず、諦めかけたころやっとその原因を突き止められることが多い。長い道のりの最後の最後になるのだが、見つかることでその作業が終わるのだから最後になるのは当たり前だ。しかし、気持ちの上では「最後の最後」という感じがぴったりする。やっとたどり着いたという思いなのだ。
 
  今回はEFHWのチューナーを改造してコンパクトなMLAを作ろうとしたことに始まる。7MHz専用で100pFのトリマーに120pFのキャパシタを抱かせたものを使った。キャパシタ部と給電部、それにエレメントも一つにまとめてしまい、アルミ線のエレメントはぐるぐる巻いて小さくまとめられるようにしようと考えた。元のチューナーにSWRのインジケータが組み込まれていたのでそれも活用する。ケースはそのままに、配線などを変更して組み上げた。改造をして想定通りの動作をしてくれたのだが、動作が不安定であった。しっかり整合するときもあれば整合点が見つからなくなることもある。どこかで接触不良か干渉を起こしているようだった。
 バグ探しの始まりである。
〇目視による点検
〇ピンセットで接続箇所をいじりながら触診
〇テスターでの導通検査
〇ハンダ付け不良を疑い、全ての個所に半田ごてを再度当てる
〇BNCコネクタの不良ではと、コネクタを交換する
〇アルミ線の接続箇所をビスで止めていたのでその接続箇所をヤスリがけして均す
〇SWRのインジケータを組み込んでいるので、その影響かと考え、回路を取り外す
キャパシタにトリマーを使っていたのでその不良かと、トリマーを交換する
〇アルミ線を留めるターミナルの接触不良を疑い、別のものに交換する
〇給電部のリンクが弱いのではないかと疑い、線材を変える
〇配線間の干渉があるのではと疑い、配線をいろいろ動かず

 簡単な回路で最初から作る以上の作業をしたのだが原因が見つからない。あち残るのはエレメントである。エレメントは一方をケースにビス止めで取り付け、他方はターミナルへ取り付ける構造としている。その取り付けにはY字型の金具を使っている。アルミ線の被覆をはがし圧着ペンチで締め付け、念のため隙間を埋めるようハンダ付けしてある。この箇所の接触不良を疑い、取り付けをやり直した。アルミ線の塗膜を取るためヤスリがけをしていたのだが削り跡が荒くなっていた。滑らかになるよう削り直し、もう一度ペンチで締め付けハンダ付けをした。よくハンダが流れるよう60Wのコテを使った。
 結局、この作業で不具合は直ったのだ。圧着端子でも接触面が荒れていると不具合が出やすい。また、当初のハンダ付けは30Wのコテを使ったのだがハンダが流れにくかったようだ。圧着端子とアルミ線の間が密着くするようにし、更にハンダを十分流れ込ませる必要があったのだ。

 簡単にすぐできる改造のつもりで始めた工作だが、バグがなかなか見つからず一日がかりの作業になってしまった。試行錯誤を繰り返し、気になるところをつぶしていった。結果は思わぬ作業ミスが原因だったと分かったのだが、やれやれと言う思いである。ともあれ、「十分にものづくりを楽しめた」と考えることにしよう