XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

ランダム長ワイヤーアンテナとEFHWアンテナ

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ランダム長アンテナとun un Tuner

 ともにワイヤーの端から給電するタイプのアンテナだが、その違いがよくわからなかった。ランダム長ワイヤーは適当な長さ、EFHWはその名の通り半波長。その他にもロングワイヤーアンテナというものもある。ただエレメントの長さが違うだけなのだろうか。 これらのアンテナを使う場合、リグとのインピーダンス整合を取るためのチューナーが必須である。トランスフォーマーを使う場合もある。ワイヤーの端から給電する場合、給電点のインピーダンスがリグのものより大変に高い場合が多いので、整合を取るためにはチューナーなどが必要なのだ。
 では、ランダムレングス(長)アンテナとEFHWとの違いは何か。波長との同調性であることにやっと気が付いた。チューナーはインピーダンスの整合を行うもので、エレメントを同調させるような働きをしているのではないのだ。EFHWではハーフウェーブ(半波長)の長さを持っているので同調している。電波がその長さに合っているので、理屈的には両端の電流は最小で、電圧は最大になっている。そのためその端から給電する場合、インピーダンスはとても大きなものになる。ランダム長ワイヤーの場合には波長に合った長さにはなっていないので、その端から給電するときにインピーダンスをリグのインピーダンスと整合させるために 9:1などのトランスフォーマーが使われる。この場合、波長との同調はとれていず、インピーダンスの整合により給電が行われているだけである。
 リグの方から見た場合、両方のアンテナとも整合はとれていて、給電は効率的に行えているのだが、アンテナの効率という視点からはエレメントの同調が取れている方が効率が良いのは明らかである。しかし、ランダム長ワイヤーアンテナには利点もある。特異的な長さのエレメントを使うことで複数のバンドでも電波を乗せることができるのだ。波長の整数倍等の長さではインピーダンスが同じようになることから、実験的に複数のバンドでインピーダンスが近似する長さが導き出されている。その長さのエレメントを使うとマルチバンドアンテナとして使うことができる。
 特定のバンドでの運用が主である場合にはEFHWが得策で、マルチバンドでの運用を求めるならランダム長ワイヤーを選択することになると思われる。効率という面からは基本的なダイポールアンテナには及ばないかも知れないが、手軽に扱えるアンテナとしてこの2つのアンテナは魅力的である。
 今回、ランダム長ワイヤーアンテナ用のチューナーとして9:1のトランスフォーマーとZマッチチューナを組み合わせたものを作った。35.5フィートのエレメントで7MHzから28MHzバンドでほぼSWR1に整合することを確認できた。これでリグ側から見たアンテナシステムを整合させることができるのだが、どの程度の効率で動作してくれるかが問題である。Zマッチは減衰が大きいとも聞く。ともあれ、伝播のコンディションが味方してくれて、多くの局と繋がることを期待したい。