XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

ワイヤーMLA その2

まとめたワイヤーMLA

 ワイヤーを使ったMLAをいろいろ作ってきた。その中でわかってきたのは、ワイヤーでも同調が取れ、そこそこの送信アンテナとして使えること。形状はできるだけ円に近い方がよいが、多少のゆがみがあってもある程度の性能は発揮できること。給電方法として、トロイドを使いリンクコイルを巻く方法でも十分な給電はできるが、対応できるバンド幅が限られ、バンド毎に巻き数を調整する必要があること。もう一つの給電方法である小さなループを使う方法は、大きなループの1/4ほどの円周のループにすることで、広いバンド範囲で良好な給電ができること。同調できるバンドはほぼキャパシタにより、ループの大きさは割合と自由に設定できること。QRPでの運用なら、ポリバリコンやトリマーなど、耐電圧の高くない部品でも使用可能であること。キャパシタの調整はシビアであるが、受信ノイズが最大になるように調整することで、ほぼ最良点に調整できること。最良点の幅は周波数が高くなるほどブロードになり、低くなるほど鋭くなること。などなど、客観的なデータが揃っている訳ではないが、このアンテナの特性がつかめてきた。

 これまでの経験を生かして、手軽に携帯でき、そこそこに実用になるMLAを作ってみた。使ったのは1.25mmφの銅線がコーティングされて2本平行になったケーブル。2.5mのケーブルで大きなループを作り、62cmのケーブルで給電用の小さなループを作る。キャパシタにはポリバリコンを使い、多くのバンドに対応できるようにした。ケーブルだけで丸いループを形作るのは覚束ないと思えたが、ループの上下をグラスファイバーのポールに縛り付けることで、歪みはあるがループを作ることができた。主ループのキャパシタを取り付ける反対側になる、ケーブルのちょうど半分のところに小ループを固定した。固定した部分にコネクタを設け、同軸ケーブルを取り付ける。
 キャパシタはMax 90pFのもので、30m、20m、17mバンドで同調点を見出したが、40mバンドでは、同調しなかった。このところ、ハイバンドが開けることが少なく、実験ができないのでキャパシタに100pFを抱かせて、40mバンドでも同調が取れるようにした。ポリバリコンを回すとノイズが急に大きくなるところがある。その状態でアンテナアナライザーで測定してみるとSWRはほぼ1に近く、インピーダンスは40Ωほどになっていた。バンドの中のさまざまな局が聞こえてくる。数回のCQで初会の局からお声掛けをもらい、移動局への呼び掛けで599をもらうことができた。そこそこ、実用になると言う手応えを感じた。ハイバンドが開けるのが楽しみである。
 このアンテナのメリットは携帯性がよいことである。直径20cmほどのケーブルの束にまとめることができ、支柱になるグラスファイバーなどのポール、同軸ケーブルがあれば設営することができる。広い場所をとらず、直径80cmほどのループであるので周囲への影響も少ないと思う。
 このところ天気の不順が続き、移動運用がままならないが、このアンテナを持ってどこに出掛けようか楽しみである。