学生時代にブルガリア大使館から分けてもらったタネ菌で始めたのがきっかけである。牛乳にタネになるヨーグルトの残りを入れておくと、翌日には牛乳がヨーグルトになっていることがおもしろかった。ただ、このヨーグルトは温度管理が難しく、また、酸味が強いため直に消滅してしまった。
次に始めたのがカスピ海ヨーグルトである。ヨーグルトは菌の繁殖によって牛乳を速やかに酸性化し、多糖類を生成して粘度が増してくるのだという。このタネ菌は温度管理がほぼ室温でよく、繁殖の状況を見ながら冷蔵庫で管理すれば繰り返し繁殖を続けられた。そして、酸味が少なく食べやすいのも好都合だった。
カスピ海ヨーグルトを食べ始めてすでに20年ほどになる。毎日ポットに作って食べ続けている。タネ菌の一部は念のため冷凍保存してあるが、日々の管理はポットの底にほんの少しヨーグルトを残しておき、そこに新たに牛乳を加える。そして冷蔵庫の上に放置するだけである。季節にも依るが、この時期ならほぼ24時間で出来上がる。気温によってなかなか繁殖が進まなかったり、逆に温度が高いと繁殖が進みすぎてスが入ったように、水分が分離してしまうこともある。頃合いを見て冷蔵庫に入れることが必要である。冷蔵庫に入れておけば繁殖が止められ、ヨーグルトの状況はそのまま保持される。何回かに分けてヨーグルトを食べ、なくなったら、牛乳をつぎ足して作り続けるのである。
酸味が少なく、そのままでも食べられるが、我が家ではジャムや蜂蜜を乗せることが多い。果物の最盛期を過ぎた頃、規格外の完熟した果物を手に入れ、ジャムを作る。自分で作ると日持ちはしないが、香り豊かなジャムができる。黒蜜にきな粉を乗せるのもお勧めである。生の果物を乗せて蜂蜜をかけるのは旬の楽しみである。
今日のヨーグルトは、先日、益子の陶器市に行った際、そこの農家から手に入れた規格外のイチゴで作ったジャム、陶器市に毎年来ている日光の養蜂家のおじさんから分けてもらったアカシアの蜂蜜、そしてアクセントに我が家の庭からアップル・ミントを添えてみた。
些細なことなのだが、こんな日常の中に楽しみがあるように思う。