XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

散歩

逆光の中のコサギ

東京地方にも木枯らし1号が吹いたという。暖かい日が続いていたり、激しい天候の変化が続いていたりしているが、着実に冬の気圧配置に向かっているようだ。それにしても、気象の変化の幅が大きいように感じる。木枯らしでしっかりコートにくるまった明くる日には日中はシャツ一枚でも過ごせる日がある。穏やかな季節の移り変わりは記憶の中だけなのだろうか。

小春日和の一日、鉄道会社のパンフレットに触発され、近所の散歩に出かけた。駅から出発し、地域の見所を回りながら別の駅をゴールとするコースである。普段は車で通りすぎてしまうようなところなので、じっくりと見たことがない。約10kmということだが弁当を持ってのんびりと歩いてみることにする。
まず、出発点の駅まで向かう。歩数計を腰に付け、川に来ている水鳥たちを眺めながら歩く。種類が増えたようでカルガモオナガガモハシビロガモ、カワウ、コガモたちが流れの中で餌をついばんでいる。川に沿ってのコースは迷う心配がない。目印の橋まで進んで、新たな目標に向かう。家々の植栽を眺め、雑木林にカラスウリを愛でながらのだらだら歩きは、上着の前を開いたままでも寒さを感じない。
バス通りや鉄道の駅はよい目印にはなるのだが、交通量も多く周りを見ている余裕がない。早々にスーパーに入り込み、休憩スペースを使わせてもらう。
名前は知っていても、訪ねたことのなかった寺院では参拝をし、境内を散策する。歴史的なものも多く、地域の昔の様子に思いをはせ、戦争の傷跡に触れ、ここに住むの人々の思いがさまざまなところに感じられる。
大きな公園に到着し、昼食とする。飛来しているたくさんの水鳥たちを見ながら弁当を食べる。川では見かけなかったオオバンカイツブリもいる。「自然の鳥たちには餌は与えないでください」という表示がある池だが、ボートに乗っている人たちは群がる鳥たちに餌をまいている。都市部での自然とのふれ合いの難しさだ。池畔を歩いているとコサギが飛来し、すぐ近くでポーズを取っている。写真を撮るよう催促している風情である。残念ながら木々の影になっていて、水面の反射光の方が強い位置である。フラッシュをたくことは避けたいので、そのままで撮影を試みる。少し暗いのだがおもしろい写真となった。
公園を出て街中を歩き、大きな神社に入る。この時期は七五三のお参りが行われていることに気づく。着飾った子どもたちと大勢の大人たち、露店まで出ている。女の子たちの装いがだいぶ変わっているのを感じた。着物の色づかいが洋風なのである。日本の色とは思えない、南の島の明るさや、ヨーロッパの原色の対比、わびさびとは縁遠い色づかいである。子どもたちの健やかな成長を感謝し願う、両親や祖父母たちの思いが強く感じられる風景である。男の子たちもいたのだが、色彩的にほとんど目立たなかった。
コースマップに従って進むと、一般道をはずれて公園と公園を結ぶルートへと誘導された。そこは舗道として整備されているが、家々との関わりを見ると元からの道ではなく、水路に蓋をしたところのようである。地形から、水が流れる低地であるのだが、今では舗道として認識されるだけで人々の防災上の関心が薄れてしまっているようだ。
さすがに、ゴールからはバスを使って帰宅したのだが、歩数計は2万歩近くになっていた。近所の散歩でも、いろいろな発見を楽しめた一日であった。